インタビュー

FIRE BALL 『one』

情熱の火の玉が繋ぐ、色とりどりの〈ONE LINK〉―【特集:日本の夏、ダンスホールの夏 2014】Part.1

HOTTER THAN HOT

[ 緊急ワイド ]日本の夏、ダンスホールの夏 2014 

丁々発止のトースティングが火花を撒き散らし、熱狂のリディムが暑さを加速させる——2014年産、日本の超ホットなダンスホール・レゲエが大集合!

 

 

  〈ONE LINK〉——FIRE BALLが通算9枚目となるオリジナル・アルバムを制作する際に掲げた主題だ。この言葉は、母体となるサウンドシステムMIGHTY CROWNが宣言した2014年の活動テーマでもある。

 今作『one』のタイトル・チューンとも言える“One Link”を聴くと、こんなフレーズが耳に飛び込んでくる——〈バラバラな思いも/一つになれる事を信じて〉。東日本大震災以降、嘘偽りで支配する権力のからくりが浮き彫りになってきた。生きることの意味を見つめ直し、本当に未来へ残すべきものとは何かを考える〈繋がり〉が広がりはじめている。先行シングルとして昨年配信された“Everything's So Nice”、さらに本作の幕開けを飾る“It's All Good”といったポジティヴ・チューンも、ネガティヴな出来事が多い世の中だからこそ心に響く、この時代に対する彼らからのひとつの回答。FIRE BALLが作り上げた最新アルバム『one』は、現代に生きる共闘者たちへ贈るメッセージが込められた作品だ。

FIRE BALL one LIFESTYLE/ユニバーサル(2014)

 「結局、震災を経て出てきた言葉でありマインドなんだと思う。この〈ONE LINK〉ってテーマについて、いまはまだ明確な答えはないんだけど、1年間ずっと考えていくことで成就されるのかな。〈繋がり〉っていうのはいいことばかりじゃないから、そこを無視するわけにもいかないしね。例えばどこかの飢えや苦しみが自分らの贅沢や歓びに繋がってたり……。表と裏の繋がりを知ることはできたとしても、その繋がりを知ってどう行動するのか、じゃあ自分がいまの生活を変えられるのか、そこまで考えるべきだと思うし。“One Link”って曲には、そういったこともリリックに反映してる」(CHOZEN LEE)。

 時事問題などシリアスなテーマを扱ってはいるものの、決して重苦しいアルバムではない。ちなみに“One Link”のトラックはMASTA SIMON(MIGHTY CROWN)がジャマイカの若きトップ・プロデューサーであるスティーヴン・マクレガーと作り上げた〈ダンスホール×EDM〉といったハイブリッドなサウンドだ。ウィットに富んだ比喩表現、唯一無二のコーラスワーク、そして多彩なサウンド・アプローチにより、しっかり現場に届くエンターテイメント作品としてダンスホールを表現するのがFIRE BALLのスタイル。その手法は、今作でさらに磨きがかかっている。

「いままでの作品に比べてMIGHTY CROWNといっしょに制作する時間が増えたことも、いい方向に進んだと思う。“俺とお前とボブマーリー”って曲は、SAMI(SAMI-T)がジャマイカでタフ・ゴング・スタジオにミュージシャンを集めて作ったオケだし。トラックのプロデュースだけじゃなくてリリックをいっしょに考えた曲もあるんだけど、世界の現場を盛り上げてきたサウンドシステムだからこその視点は流石だね。こういった制作方法が取れるのも、ファミリーならではのことだと思う」(SUPER CRISS)。

 ファミリーともがっちり〈ONE LINK〉した今作。さらにシーンとの〈ONE LINK〉を表現したナンバーが、HOME GROWNの演奏に乗せて13組のアーティストが豪華なマイクリレーを聴かせる“Reggae Bus”だ。ヴェテランからはJunior DeeNANJAMAN、同世代からはPUSHIMRYO the SKYWALKERMOOMINMIGHTY JAM ROCK、次世代からはJ-REXXXRUEED導楽APOLLODRIBBLAがエントリー。ファミリーからはPAPA BSAMI-Tも飛び乗り、曲の後半ではDJ同士のクラッシュ要素やパンチラインを引用したオチを用意するなど、曲の構成も楽しめる仕上がりだ。

 「フェスの会場に向かうバスの車内の、あのすっげー楽しい雰囲気を表現できたらと思ったんだよね。もちろん今回の参加メンバー以外にも乗ってほしいアーティストはたくさんいた。だからこのバスが1号車だとしたら、2号車、3号車も走らせなきゃと思ってる。フェスの最後に出演者みんなが自分のヴァースを持って登場してくれるような曲に育ってくれたら嬉しいね」(TRUTHFUL)。

 他にもレゲエの名曲との〈ONE LINK〉を実現。過去にデルロイ・ウィルソン“Dancing Mood”やジミー・クリフ“You Can Get It If You Really Want”などのクラシックを採り上げてきた彼らが、今回はジョン・ホルトボブ・アンディらが参加した伝説のコーラス・グループパラゴンズによるロックステディの名曲“The Tide Is High”をカヴァーしている。

 「英詞のストレート・カヴァーの後に俺のヴァースが続くんだけど、オリジナルの歌詞を和訳してもらってフックになる単語を汲み上げてリリックを考えていった感じ。すでに原曲の世界観があるから、それをどの環境にハメるか考えたときに、やっぱりクラブをイメージさせるのがベストかなと思って。パラゴンズのオリジナルはもちろんだけど、最近ではビールのCMで流れていたり、いろんな人がカヴァーしてる曲だから、聴き比べて楽しんでほしいね」(JUN 4 SHOT)。

 

▼関連作品

左から、FIRE BALLの2012年作『NEW ERA~Call This Love~』(LIFESTYLE/ ユニバーサル)、FIRE BALLが参加したBACK DROP BOMBのトリビュート盤『The Broccasion -music inspired by BACK DROP BOMB-』(cutting edge)、10-FEETの2014年作『6-feat 2 + Re: 6-feat + LIVE DVD』(ユニバーサル)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

▼『one』に参加したアーティストの作品を一部紹介

左から、PUSHIMのベスト盤『15th-THE BEST OF PUSHIM-』(ソニー)、MOOMINの2010年作『Souls』(Knife Edge)、導楽の2013年作『DO ROCK』(STEADY MUSIC)、RUEEDの2012年作『SCENARIO』(MAGNUM)、ALLY & DIAZの2013年作『ALLY & DIAZ II』(YOSHIMOTO R and C)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

TOWER DOORS
pagetop