mei ehara『Ampersands』ソウルや現行R&Bのフィーリングを滲ませ、力強く躍動

2020.06.10

キセルの辻村豪文がプロデュースを務めた2017年の前作『Sway』も印象深い作品だったが、一聴した際の感覚がずいぶん違っていて驚いた。キセルのふたりが演奏を手がけていた前作に対し、今回は鳥居真道(ギター、トリプルファイヤー)、Coff (ベース、元どついたるねん)、浜公氣(ドラム、どついたるねん)、沼澤成毅(キーボード、ODOLA)という4人が参加。ehara自身がメンバーを集め、彼女のセルフ・プロデュース・アルバムとなっている。

前作はeharaの内省的な側面がキセルの世界観と混ざり合うことで特別な魅力を生み出していたが、今回はより肉体的。ソウルや現行R&Bのフィーリングを滲ませた演奏はしっかりとグルーヴし、柔らかく躍動している。その上に乗るeharaの歌唱も熱唱こそしないものの、前作にはなかった力強さと確かな熱を秘めている。

KAKUBARHYTHMのウェブサイトに掲載されたオフィシャル・インタビューによると、前作以降、eharaはトリオ編成でのライブを繰り返し、2か月で300曲ものデモ・トラックを制作したという(そのうちの一部は宅録音源シリーズ『HOME DEMOS』の一環として配信およびカセットテープでリリースされた)。そうした日々の鍛錬が筋肉となり、しなやかな力強さに結びついたのだろう。レゲエ・リズムのオープニング・ナンバー“昼間から夜”、BPM87のコズミック・ソウル“歌の中で”、ボサノヴァ調の“ギャンブル”など、聴きどころも多い。階段二段飛ばしの成長を遂げたセカンド・アルバムである。

 

 

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