*Mikiki編集部
3万人が参加、日本のヒップホップに歴史を刻んだ2日間
日本のヒップホップシーンに新たな歴史を刻む! 国内外のトップアーティストが集結した。YZERR主催の〈FORCE MAGAZINE PRESENTS FORCE Festival〉の熱気を伝えるレポートが到着した!
2025年10月3日・4日の2日間、横浜アリーナにて、YZERR主催の〈FORCE MAGAZINE PRESENTS FORCE Festival〉が開催された。国内外のトップアーティストが集結した初開催のこのフェスティバルは、延べ30,000人を動員し、日本のヒップホップシーンに新たな歴史を刻む大盛況のうちに幕を閉じた。
国境を越えたヒップホップの祭典、大盛況のわけ
初開催となった〈FORCE Festival〉がこれほどまでの成功を収めた理由は、いくつかの要素が絶妙に重なり合った結果だろう。まず挙げられるのは、世界基準のラインナップ。フューチャー、セントラル・シー、セクシー・レッドといった現在進行形で世界のヒップホップシーンを牽引するアーティストと、YZERR、T-Pablow、Awichなど日本のシーンを代表するトップアーティストが同じステージに立つことで、国境を越えた音楽の力を存分に証明した。
さらに注目すべきは、会場の雰囲気だ。往々にしてこうした国際フェスでは、海外アーティスト目当ての観客と日本人アーティスト目当ての観客が分断されがちだが、〈FORCE Festival〉では驚くほどその壁が感じられなかった。すべてのパフォーマンスに対して会場全体が一体となって反応し、国籍もキャリアも異なるアーティストたちが同じ熱量で観客を揺らす――それはまさに音楽の力が国境を越えた瞬間だった。この一体感こそが、〈FORCE Festival〉最大の成功要因と言えるだろう。
ヒップホップファンを唸らせた両日のハイライト
初日10月3日のハイライトは、なんといってもセントラル・シーとセクシー・レッドによる“GUILT TRIPPIN”での共演だった。UK発のスター、セントラル・シーは、代表曲“Doja”“Sprinter”が放たれるたびに大歓声が起こり、観客とステージが最後の一音まで完璧に呼応。そして“GUILT TRIPPIN”でセクシー・レッドが再度ステージに登場した瞬間、会場の熱狂は最高潮に達した。
セクシー・レッドのパフォーマンスは、初日における重要なターニングポイントでもあった。T-Pablowのライブ終了後、ステージへ飛び出した彼女は、セクシーさとタフネスを併せ持つ圧倒的なステージングで、ヒットチャートを賑わせる楽曲を次々と繰り出し、観客のテンションを一気に押し上げた。そのハイレベルなパフォーマンスは、続くセントラル・シーへの完璧な布石となり、現代ヒップホップを代表する2人の奇跡的な共演へと繋がった。
初日はほかにも、世界的プロデューサー、マーダ・ビーツによるナイトクラブさながらのDJセット、サプライズ登場したベイ・スワッグの“Drank”での大歓声、T-PablowとTiji Jojoによる“Suicide”での涙するファンの姿など、記憶に残る瞬間が数多く生まれた。
最終日10月4日のハイライトは、メトロ・ブーミンのDJセットからフューチャーへと続く完璧な流れだった。“Father Stretch My Hands Pt. 1”や“Bank Account”、最新ヒット“Take Me Thru Dere”まで目まぐるしくプレイするメトロ・ブーミンに、観客は総立ち。一瞬にして横浜アリーナは超巨大なクラブへと姿を変えた。
メトロ・ブーミンがおもむろに日本国旗を手にし、“Superhero (Heroes & Villains)”をイントロからプレイ。DJブースから出たその瞬間、ヘッドライナーであるフューチャーがついにその姿を現した。横浜アリーナは再び地鳴りのような歓声に包まれ、メトロ・ブーミン プロデュースの“Mask Off”の笛の音が響いた瞬間、観客の大合唱が始まる。“Like That”で会場のテンションは2日間で最高の瞬間を迎えた。メトロ・ブーミンとの息の合った演出は、間違いなくこのフェス最大のハイライトだった。
その後もフューチャーのパフォーマンスは続く。盟友DJエスコとのコンビネーションは円熟の域に達しており、“March Madness”への流れは完璧だった。日本で“March Madness”が聴けるなんて――客席からはそんな声が漏れ聞こえ、まさに奇跡の瞬間。キャリアを彩る名曲の数々を惜しみなく披露し、フューチャーは最終日のクライマックスを完璧に仕上げた。