ホセ・ジェイムス周辺からまたも逸材登場、彼のバンドのドラマーであるリチャード・スペイヴンのリーダー作! ホセやクリス・バワーズに続く「ジャズ×ロック」の先鋭ですが、前述した二者がまだポップだと思ってしまうほど、リチャードのアプローチはディープで鋭いのです。サイケデリックな音響にヒップホップやドラムンベース/ダブステップを経由した倍速(…それ以上か?)で複雑なリズムを見事に組み合わせた本作。綿密な構造にも関わらず、不思議とそこを意識させない流麗さには驚きです。そしてどんなに複雑になろうとも、人間の快楽原則を的確に突いてくるドラミングは実に現代的!
ホセ・ジェイムズやフライング・ロータスのバックを支えてきたUKの敏腕ジャズ・ドラマーによるリーダー作。黒田卓也が参加したイントロ曲を筆頭にクートマとも好相性を示す本盤は、MPCでビートメイキングしたような鋭くタイトなドラミングで、ブロークンビーツ経由のアンビエントな音像を紡いでいく。効果音的に響くフリドライン(フィン・シルヴァー)やヒックスの繊細な声も得難いムードを醸成している。