96年~97年にザ・シンフォニー・ホールでライブ録音されたベートーヴェン・チクルス。短期集中、同一ホール、同一の録音システムのため曲同士の出来にむらがなく、雄大で強靭な安定感のある演奏内容。オーケストラもまとまっており土台のしっかりしたサウンドを奏でる。第3番で木管を倍にする代わりに第1楽章コーダのいわゆる〈金管上げ〉をやめる(ちなみに最晩年のチクルスでは〈金管上げ〉していた)など、スコアにあまり手を加えない姿勢が際立つ。本音源のSACDハイブリッド盤によるボックス化は初めて。価格面でもお買い得になったので一つの時代の記録として手元に置く価値は十分ある。