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自分に与えられた役割

――歌詞で言うと、大阪弁を使った明るくロックな“ネオンの朝”もすごく楽しいです。〈行けたら行くわ〉〈あほやなあ〉とか。

「〈行けたら行くわ〉って、関西人はよく言うんですよね(笑)。〈あほ〉っていう言葉も、言われてむしろ嬉しい言葉でもあって、〈友達になれた〉という瞬間だったりするんですよ。関西以外の人が〈あほか〉って言われると、ちょっと傷ついちゃうのかな?とも思いますけど(笑)」

――“かまってちゃん。”は、甘えたいくせに人を困らせる、かまってちゃんな男をテーマにした恋愛ソング、ですかね。

「恋愛に限らず、そういう人が最近多いなと思うんですよ。その時その時、世の中にいろんな問題がありますけど、かまってちゃん問題が多いなと、今年の頭ぐらいから思っていたんですよね。SNSやTVでもよく見るし、そこに自分の経験を重ねて一つの曲にしました」

――そうか、時事ネタでもあったんですね。サウンドで言うと、「NHKみんなのうた」(10-11月放送)に決まった“はだしのダイアリー”の、ヤイコさんらしいアイリッシュなムードがすごく素敵です。

「この曲のアレンジは、〈地球儀の上をちっちゃい人が散歩している〉というイメージがあって、ジャンベやウドゥを入れたり、いろんな国のカラーが出るといいなと思っていました。いろんな人が自分の気持ちを重ねてもらえるような、無駄を削ぎ落とした言葉とメロディーで、ということを心掛けて作りましたね。昔から〈みんなのうた〉が大好きで、“コンピューターおばあちゃん”とか、勝手に口から出てきちゃうメロディーがたくさんあるじゃないですか。いつかやってみたい!と思っていたので。ひとつ夢が叶いました」

――アルバム本編を締め括るのは“きっとJust fine”。コロナ禍の向こうに青空が見えてくるような、希望の歌だと思いました。

「こういうタイプの曲をオリジナル・アルバムに入れるのは初めてですね。GAKUさんの曲に私が歌詞を書かせていただいたんですけど、自分の曲のように歌うことができたので、不思議な感覚でした。GAKUさんは根っからハッピーな人なんですよ。太陽みたいな人で、一緒にいると光合成できるみたいな(笑)、すごい前向きな気持ちになれるんですね。これもステイホーム期間に作った曲ですけど、きっとGAKUさんも、こんな世の中だからこそ、一点の曇りもない青空のような曲を書いてくれたんだと思います。最初から最後まで1ミリも下を向いていない、素敵なサウンドだなと思います」

――そしてアルバム・タイトルが『Shar­ing』。

「Sharingには〈分け合う〉〈共有する〉という意味のほかに、〈役割〉とか〈分担〉という意味もあるんですね。〈役割〉と言われると気持ちがシャキッとするし、シェアできる環境にするには、自分に与えられた役割をきちんとやることも含まれているんだなと思うと、いい言葉だなと思って、アルバム・タイトルにしてみたいなと思いました」

――いまの時代にぴったりのワードだと思います。そしてこのあとは、久々にお客さんを入れたライヴが行われますね。

「10月31日にZepp DiverCity Tokyoで、お客さんを半分入れた有観客生配信ライヴをやろうと思っています。いまは先の予定も立てづらい、難しい時代だなと思うんですけど、失敗を恐れず、新しい形に挑戦していきたいなと思うし、いまの積み重ねが未来に繋がると思うので、いろんなことをやっていきたいと思っています。そしてこのアルバムの曲たちが、どこかの誰かの何かの瞬間にふと思い出されて、前向きな気持ちになってくれたり、曲と一緒に暗くなってくれてもいいですし、心が動く瞬間があることを願っています」

 


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