年頭のミニ・アルバム『Keep Going』を入口としてデビュー20周年を華々しく祝うはずだった2020年、思わぬ状況下で生まれた11枚目のフル・アルバム。自粛期間とその前後に渡る制作時期の違いが楽曲それぞれのトーンを塗り分けた側面も当然あろうが、苦楽をシェアすることを意図したタイトル通り、同じ時代を生きる人々への気持ちが込められた全体の印象は極めてポジティヴなもの。幕開けの“いつまでも続くブルー”から円熟味と無邪気さを自在に繰り出す歌唱も見事だ。GAKUによるアコースティックな意匠というここ数作のスタイルと、西川進ら往年のメンバーが集まった鶴谷崇アレンジのYaiko Band録音曲が並列となって、過去の延長線上にある現在の視点から未来へのメッセージを高らかに鳴らした快作。