小野リサが2020年10月21日(水)から30日(金)にかけて、東京・横浜・大阪のBillboard Live(ビルボードライブ)でライブを行う。

日本におけるボサノヴァのパイオニアとして不動の地位を確立している、小野リサ。ブラジル・サンパウロで生まれ、10歳まで同地で過ごしたが、幼いころからカーニバルでサンバに合わせて踊るなど、ブラジルの音楽に日常的に接していたようだ。またあるときには、ブラジルを代表する名ギタリストのバーデン・パウエルが電話越しにギターをつま弾きながら歌う場面に遭遇したこともあったという。

そんな小野がやがて歌い始めるのは、必然であったと言えるかもしれない。帰国後、15歳でギターを手にすると、父親が開いたライブ・レストランに集うブラジルのミュージシャンたちに囲まれながら、ステージなどで歌うようになる

しばらくはサンバを中心に歌っていた小野だが、ホテルのラウンジでの仕事をきっかけにボサノヴァに開眼し、以降はボサノヴァに重心を移していく。そして89年にアルバム『カトピリ』で、いよいよデビュー。アルバム制作のベースになったのは、〈幼少期に経験したブラジル流の楽しみ方を日本の人たちに伝えたい〉という思いだったようだ。そしてそれは、現在に至るまで一貫して彼女の原動力となっているように感じられる。

89年作『カトピリ』収録曲“カトピリ”

そんな小野のキャリアを語るうえで外せないのが、ブラジル音楽界を代表する偉大なミュージシャンたちとの交友・共演だろう。その共演歴にはアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ドナート、トニーニョ・オルタなど、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。

97年作『エッセンシア』収録曲“ノンストップ・トゥ・ブラジル”。トニーニョ・オルタがギターで参加

音楽を心から楽しむ彼らの情熱的な姿に刺激を受けつつ、その後も第一線で活躍を続け、これまでに日本ゴールドディスク大賞〈ジャズ部門〉を4度受賞するなど、もはや押しも押されぬ存在となった小野。長きにわたり、音楽を通じてブラジルと日本の架け橋となってきた功績が称えられ、2013年にはブラジル政府からリオブランコ国家勲章の叙勲を受けた。