1年9か月ぶりの新作。今回もトミー・ブラウンに制作を委ね、盟友ヴィクトリア・モネイらと書いた曲をスウィートかつ清涼感のある声で歌うが、ロンドン・オン・ダ・トラックが関与した先行発表の表題曲などでフェミニストとしての姿勢を打ち出したリリックは気高くセクシーだ。足すと69になる“34+35”では本人も赤面するほどの官能をトラップ・ポップなサウンドに包んで歌い、共演曲でも、ドージャ・キャット、ウィークエンド、タイ・ダラー・サインそれぞれの個性に寄せながら力強さと愛らしさを行き来する。スコット・ストーチが手を貸したネオ・ソウル風の“my hair”や70sフィリー・ソウルとUKガラージの合体的な“love language”は後半のハイライト。またも〈キャリア最高〉と言いたくなる充実作だ。