ミレニアル世代の中では歌唱力はダントツだが、どうにも生き下手な印象が強いデミ。薬物ODで生死を彷徨った直前に書かれた感涙バラード“Anyone”で幕を開ける4年ぶりの新作は、冒頭の3曲でまずは悲痛な魂の叫びをぶちまけてから、現在の心情を映し出すソフトで優しいタッチの軽妙なナンバーへと移行する。ポップ&オークやミッチ・アランが手掛けるプロダクションはメロディーとハーモニーが主体で、心地良さが特筆もの。サム・フィッシャー共演曲のみ少々ヘヴィーだが、アリアナ・グランデ、スウィーティー、ノア・サイラスらとは比較的あっさりめ。ついつい200%の勢いで爆進しがちだった彼女だが、控えることを学んだかのようでもあり、彼女が会得した新しい人生観とも重なっている。