〈Z世代のスター〉と謳われるドミニク・ファイクが2年半かけて完成させたデビュー・アルバム。楽器を演奏することに加え、ごくごく当たり前のこととしてヒップホップのトラックメイキングも曲作りの手段にしているシンガー・ソングライター/ラッパーの可能性が全14曲の中に赤裸々な告白とともに詰まっている。R&B/ヒップホップ調の曲が並ぶ後半以上に、ドゥワップ×ヒップホップな“Good Game”をはじめ、ジョン・フルシアンテやウィーザーなど、ロック系のルーツが露わになった曲の並ぶカオスな前半がおもしろい。ゴシップにもなり得る半生はさておき、まずはそんな背景から生まれる音楽のユニークさを味わいたい。ファンキーなオルタナ・ポップ“Chicken Tenders”の威力は強烈だ。