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インタビュー

朴葵姫『Le Départ』コロナ禍を逆手取った初のセルフ・プロデュース作で示す、ギタリストとしての成長

みずからの変化を感じる、デビュー10周年のセルフ・プロデュース作

 高度な技術に裏打ちされた繊細な表現、瑞々しい感性でギター・ファンを魅了する朴葵姫。2020年にデビュー10周年を迎え、韓国でリリースされたセルフ・プロデュースによるアルバムが、このたび日本でも発売になる。

朴葵姫 『Le Départ』 Columbia(2021)

 「日本でレコーディングする予定が、コロナ禍で入国できず、急遽韓国で制作することに。結果的にセルフ・プロデュースという形になりましたが、一度はやってみたいと思っていたことなので、その時期が早まったという感じです。いつもとは違うスタジオ、スタッフさんたちとの作業でしたし、録音した音源をすべて聴いて、どのテイクを使うかを選び、編集やミックスにも立ち会って、音に関するすべてを自分ひとりで決めていくのは不安でしたね。けれど、自分のペースで自由に進められる良い機会でもありました」

 10年の間、コンサートなどで愛奏してきた曲を中心に選曲したという今作。ピアニスティックな華やかさを持つグラナドス(ペゴラロ編)の“詩的なワルツ集”のあとに、ブラジルの風を感じるヴィラ=ロボスの“ショーロNo.1”、そして静謐なタレガの“前奏曲No.5”へと続くといった流れも考え抜かれている。

 「心のなかで決めたテーマは〈癒し〉でした。皆さん大変な思いをされている時期ですから、理解するのに時間がかかる音楽ではなく、心にすっと入ってくる音楽をお届けしたいなと。そのうえで、ひとつの物語のように感じられる曲順に並べてみました」

 アルベニスの“カタルーニャ奇想曲”を2012年の録音と比べると、格段に表情豊かに、自由になった今の境地が手に取るようにわかる。

 「長く弾き込むと表情が変わってきますから、自分がどう変わったのかを知りたくて再録音しました。もう20年近く、日記をつけているんですよ。何年か前の日記を開くと迷いや悩みがたくさん書いてあって、そのときは見えていなかった解決法が、今では見えていたりするので、自分の成長を感じることができます。音楽においても、自分をよく知ることができるようになったのが、ここ数年のいちばんの変化ですね。自分にはどういう表現が合っているのかを把握し、苦手な部分を無理して変えようとするのではなく、良いところを出していけるようになりました」

 最近は、韓国でギターについてのあらゆる話題をトークするポッドキャストの番組を持ったり、YouTubeのチャンネルを開設したりと、コロナ禍だからこそのチャレンジを続けているという。

 「韓国語の方がおしゃべりでアクティヴかも。日本と違い、まだギターがクラシック界に根づいていないので、自分が引っ張っていかなきゃという気持ちで頑張っています」

 


LIVE INFORMATION

デビュー10周年 朴葵姫ギター・リサイタル
〇3/07(日)14:00開演 京都・府民ホールアルティ
〇3/13(土)14:00開演 東京・なかのZERO小ホール
〇3/14(日)15:00開演 愛知・三井住友海上しらかわホール

www.concert.co.jp/concert/kyu_hee_park/

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