インタビュー

朴葵姫 『Saudade -ブラジルギター作品集-』

出会いを機会に挑戦したブラジル音楽

朴葵姫 『Saudade -ブラジルギター作品集-』

 南米の音楽を取り上げた前作『最後のトレモロ』に続き、朴葵姫の新作『サウダーヂ』は、ブラジル音楽がテーマ。ジスモンチヴィラ=ロボスといったを代表する作曲家の名曲に挑戦している。

朴葵姫 Saudade -ブラジルギター作品集- Columbia(2014)

 「2年前から温めていたアイディアですが、ウィーン国立音楽大学で教えてもらっているアルヴァロ・ピエッリ先生の影響もあります。先生はウルグアイ生まれのブラジル育ちで、ブラジル音楽に精通しているので」

 演奏家としても著名なピエッリは、選曲にあたって膨大な楽譜を用意してくれたという。その全てを何週間もかけて読み、弾くなかで最終的に7人の作曲家の計12曲をレコーディングすることになった。

 「基本的にブラジルの代表曲を選んでいます。これまで、繊細な曲の演奏に良い評価を頂いてきたことで反対に、リズミカルな曲は向いていないと思い込んできたのですが、変拍子を理解していないだけ、スカルラッティの作品ではいいリズム感が発揮されているのだから大丈夫と言われて自信が持てたので、今回は繊細な曲とリズミカルな曲を均等に演奏しています」

 後者に分類される曲で特に印象的なのがベリナティの《ジャンゴ》。ボディを大胆に叩くプリミティヴなリズムに隠された一面を見る思いがして、新鮮に響く。

 「《ジャンゴ》は、メロディが4拍で、伴奏が3拍という構成で、ボディを叩くリズムは、アフリカから渡ってきた野性味あふれるもの。先天的に私の中にあるものではないので、自然な流れの中で演奏できるようになるまでは結構時間がかかりましたが、今はこの曲をもっと大胆に、エネルギーを爆発させるようにコンサートで弾くのが楽しみになっています(笑)」

【参考音源】朴葵姫の2013年作『最後のトレモロ』収録曲“最後のトレモロ”パフォーマンス映像

 

 今回ブラジル音楽に挑戦するなかで、先行してコンサートでヒナステラの《ギター・ソナタ作品47》を演奏してきたことが大いに役立ったという。

 「好きな曲ではあるけれど、激しい曲調だし、変拍子の連続なので、複雑すぎて自分には無理だろうと思い込んでいたのですが、先生に勧められて挑戦したのが本当にいい勉強になっているし、いい反響を得られたことで自信にもつながりました。ヒナステラに取り組んだことが新作のいい下地になったとも思います」

 過去の作品では収録曲をアルバムタイトルにすることが多かったが、新作は『サウダーヂ』。日本語にすると“郷愁”だが、ここにどんな思いを込めているのか。

 「ブラジル人にとって“サウダーヂ”は大切な言葉。郷愁以外にいろいろな意味があって、哀しみもあるけれど、とても美しい言葉という話を先生から聞いていたので、新作にピッタリの言葉だと思い、タイトルにしました。その意味を感じていただけると嬉しいです」

 

LIVE INFORMATION

CD発売記念 朴葵姫(パク・キュヒ)ギターリサイタル

○10/1(水) 19:00開演 会場:浜離宮朝日ホール
曲目:ジスモンチ:水とワイン
ヒナステラ:ギター・ソナタ 作品47
ヴィラ=ロボス:5つのプレリュードより 第2番 12の練習曲集より 第12番

http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

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