センスと同時代性を共有する〈A.S.A.B〉のレーベルメイトたち
そして、今の大橋トリオを語る上でのもうひとつのポイントは、2019年4月にスタートしたミュージック・レーベル・コミュニティー〈A.S.A.B〉に彼が所属している、ということだろう。発足時からの所属アーティストは、大橋トリオの他に、土岐麻子、THE CHARM PARK、SIRUP、AmPm、みゆな。現在は瑛人やMONKEY MAJIKやGorilla Attackも所属している。
レーベルとしてのA.S.A.Bの特徴は〈コミュニティー〉を銘打っているところにある。そこに所属するアーティストは単なるレーベルメイトというだけでなく、外部の様々なパートナーを介しつつ良質な音楽を作り上げるゆるい〈仲間〉のような関係を築いているように見える。
特に、2021年2月から3月にかけては、大橋トリオ『NEW WORLD』、THE CHARM PARK『Bedroom Revelations』、土岐麻子『HOME TOWN ～Cover Songs～』、SIRUP『cure』と所属アーティストたちの新作アルバムが相次いでリリースされた。それぞれキャリアも方向性も違うが、これらの作品群をあわせて聴くと、グッド・ミュージックとしてのセンスと同時代性を共有している〈コミュニティー〉としての感覚が伝わってくる。
そして、レーベル所属アーティストと大橋トリオとの人としてのつながりも多く見える。たとえば、THE CHARM PARKは大橋トリオの新作で英語詞の作詞を担当、ツアーではサポート・メンバーもつとめる盟友的な存在だ。彼の新作『Bedroom Revelations』は〈ベッドルームでの気付き〉と題したタイトルのとおり、アコースティックな音色にとてもパーソナルな親密さを宿したアルバム。コロナ禍によって価値観が大きく変化した2020年以降の時代性を切り取ったような内容になっている。
土岐麻子の『HOME TOWN ～Cover Songs～』はASIAN KUNG-FU GENERATION“ソラニン”やスピッツ“楓”などJ-Popの名曲を彼女ならではのセンスで再構築しカバーした一枚。こちらでは大橋トリオの作品やツアーに多数参加しているmabanuaがアレンジャーとして参加している。
ちなみに、mabanuaの所属するorigami PRODUCTIONSからはMichael Kanekoも大橋トリオのツアー・メンバーに参加している。A.S.A.B所属アーティストの作品には他にも関口シンゴやKan Sanoなどorigami PRODUCTIONS所属のアーティストがプロデュースやフィーチャリングで参加することが多く、こうしたつながりもコミュニティー感の醸成につながっている。
今年でデビュー14年。積み重ねてきたキャリアの縦軸と、A.S.A.Bというレーベル・コミュニティーや、ミュージシャンシップでつながる仲間たちの横軸を踏まえて聴くと、大橋トリオというアーティストの音楽が何倍にも豊かに感じられるのではないだろうか。
RELEASE INFORMATION
【CD＋Blu-ray Disc（スマプラ対応）】
初回生産限定
品番：RZCB-87046/B
価格：5,500円（税別）
【CD＋DVD（スマプラ対応）】
初回生産限定
品番：RZCB-87045/B
価格：5,500円（税別）
【CD only（スマプラ対応）】
品番：RZCB-87047
価格：3,000円（税別）
CD
TRACKLIST
1. ミルクとシュガー duet with 上白石萌音
2. Favorite Rendezvous
3. Butterfly
4. それで良いんじゃない
5. Paradise
6. Rise Above
7. LION
8. 何処かの街の君へ
9. 月の真ん中で
初回盤Blu-ray / DVD
ohashiTrio HALL TOUR 2020 〜This is music too〜 at NHK Hall 2020.11.19
TRACKLIST
1. LOTUS
2. ポラリス
3. Let us go
4. 夕暮のセレナーデ
5. LIFE
6. 青月浮く海
7. Favorite Rendezvous
8. サリー
9. quiet storm
10. 赤いフィグ
11. PARODY
12. Aliens On Earth
13. はじまりの唄
14. HONEY
15. Happy Trail
16. 何処かの街の君へ
タワーレコード先着特典：ポストカード（TOWER RECORDS ver.）
