Ms.Machine『Ms.Machine』フェミニスト・パンク・バンドが愛と〈北〉の心象風景を歌うファースト・アルバム

2021.03.10

Ms.Machineについて〈若くて女性でかっこいいパンク・バンドがいる〉という噂が自分の耳にも入ってきたのは、確か3~4年前のこと。2017年に自主企画〈FELINE〉を成功させ、その翌年デビューEP『S.L.D.R』をリリースした彼女たちは、はっきりとフェミニズムを支持する姿勢を打ち出していた。

海外のオルタナティヴな音楽シーンでは、またここ数年はメジャーなエンタテインメント業界のど真ん中でも、フェミニズムをはじめとする反差別の思想はあたりまえに共有されている大前提みたいなところがあるが、日本で堂々とそうした発言をするアーティストはそれほど多くない。だから、出会えると嬉しくなってしまう。2021年、そんな彼女たちから待望のファースト・アルバムが届けられた。

SAI(ヴォーカル)、 MAKO(ギター)、RISAKO(ベース)の3人が紡ぎ出すサウンドは、90年代育ちの自分が同世代にひとことで説明するなら〈インダストリアルおよびシューゲイザー風味もある、クールな方向のポスト・パンク〉。魔女集会っぽさもあり。最近はこういうのをウィッチ・ハウスとかダークウェイヴとか言うのだろうか?

歌詞を読むと、意外にも内省的なラヴソングが多い。誰かを想い、愛が消えることを恐れ、また愛することを恐れる気持ちをとらえた英語の短いフレーズが、可愛らしさや親しみやすさの逆を行く、ぶっきらぼうに凛としたヴォーカルで反復される。また、“Nordirig Ängel”“Black Sun”“Pale Snow”といったタイトルから察せられるように、北欧のイメージも随所に現れる。

たとえば東京のような雑然とした大都市で過度のストレスに晒される生活を送っていても、もしくはいるからこそ、心の中には白と黒で描いた北国の森と澄んだ湖、そこに冷たい風が吹いている風景が広がる瞬間がある。そうした内面で遠く離れたところにチャネリングする感覚もまたひとつの自分の現実として信じられる人、信じたい人に寄り添ってくれる音楽だと思う。

 


RELEASE INFORMATION
Ms.Machine『Ms.Machine』

リリース日:2021年1月31日
価格:2,500円(税抜)
全8曲入り
300枚限定

BASEとBandcampにて販売中
BASE: https://msmachine.thebase.in/items/39157658
Bandcamp: https://ms-machine.bandcamp.com/album/ms-machine

TRACKLIST
1. 2020
2. 忘却の海
3. Lapin Kulta
4. Nordlig Ängel
5. Black Sun
6. Pale Snow
7. Vår
8. Girls Don’t Cry, too

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