インタビュー

薄れゆく日本独自の文化や精神を我流の解釈で現代に投下――SATOL aka BeatLiveと霏deが語る新レーベル〈-滅- METSUJP〉

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〈-滅- METSUJP〉は音楽レーベルというよりエンターテイメント性そのもの

――そんなレーベル〈-滅- METSUJP〉が2020年に設立されました。まず名前の由来から訊かせてください。

SATOL「忘却、滅却とか、滅びの美学に向かっていくという意味もあるし、一度滅んでまた再生するという逆の意味合いもあります。一度滅んだほうがマシっていうわけではないけど、こういう世の中になってるからそう思うところもあって、〈-滅- METSUJP〉にしたっていう。JPって付けてるのは、やっぱ日本人っていうところを全世界に発信したくて。一言っていうのもよかった」

霏de「最初は一文字じゃなく別の名前を考えてたんですけど、考えていくうちにSATOLさんが〈滅〉って響き良くない?って。それを聴いたときに自分も素直にカッコいいなと思ったんで、〈-滅- METSUJP〉に決めましたね」

――その第1弾アーティストである〈滅〉というユニットの音楽性、世界観も教えてもらえますか。

SATOL「現代日本の諸善諸悪の根源を自分なりに音楽でできたらいいなと思っていて。例えば少しずつ消えていってる日本の祭り事。たしか日本はお祭り事が世界で一番多いとか多種多様っていう話を聞いたことがあるんですけど、それくらい日本は祭り事を大切にしてたわけで、それでみんなが久々に会えたりとか、苦労を共感しあう場になったり、疫病を鎮めたり、豊作を願ったり、神仏に感謝したりといろんな意味がありますよね。そういう古き良きものが現代から消えていってると聞くので、そういうのを俺たちの解釈で発信して伝えていけたらいいなって思っています」

霏de「そのためにはやっぱり音楽だけに捉われず、自分たちの自己表現をいろんな形で届けたい。今はSATOLさんの音が中心だけど、可能性のあることには全て挑戦していく感じですね」

SATOL「俺だけのレーベルやユニットじゃないので、もちろん霏deさんのことをイメージして制作することもある。俺一色になるのであれば俺は面白くないし、そういうことはソロのほうで長年やり続けてきたことやから。だけどこっちのほうはもっと、異業種とか日本のプライドを共感できる奴らにまで届けていくことに意味があると思っていて。日本文化についての思想も踏まえた上で、〈-滅- METSUJP〉は芸術に特化したサブカルチャー・レーベルになるはず。音楽だけじゃなくZINEとか、いろんなものも出すつもりです」

――日本古来のものや滅びゆくものをイメージされてるのはなぜですか?

SATOL「そもそも霏deが佐賀出身で、そこがレーベル所在地になってるというのが大きいですね。鹿児島に行っても長崎に行っても、〈佐賀って歴史がいっぱいありますよね〉って言われるんですよ。もちろん幕末や明治維新にもめちゃくちゃ関係あるし、佐賀の乱もあったし。俺にはもともと無縁の土地だけど、そういうのも踏まえてやっぱり見過ごすわけにはいかない町なんですよね。歴史も深いし、個人的にも深い感銘を受けて」

――では聴く人の土地土地によって〈-滅- METSUJP〉から感じる世界観というのは変わっていくんでしょうか?

SATOL「もちろん各地の歴史や文化が違うように変わっていくでしょうね。でも目的は変えないです。音楽に限らず各地で頑張ってる方がいっぱいおるわけで、音楽がそういう人たちを引っ張り上げるいいきっかけになればなと思っています。今作っているMVは佐世保で撮っていて、あえて戦後の遺産でもある砲台跡や防空壕に佐世保の人だけを集めたもので。そういった歴史の爪痕が残ってる所をまずは重点的に題材にしてやっていこうと思っています。今度は鹿児島でもやりたいな。

例えば海外でいうと、日本酒は有名だけど、焼酎はまだそこまで有名にはなりきれてない。日本人がアメリカの料理に対してハンバーガーだけ詳しくて、他はあんまり知らんって言ってるようなもんです。だから、そういうところに一石を投じるべきやなと思っていて。それが〈-滅- METSUJP〉というレーベルを始めた根本原理です」

――霏deさんが捉える〈-滅- METSUJP〉というレーベル像も訊かせてください。

霏de「きっかけは佐賀でSATOLさんがライブをするってなった時に、ハコ側からDJで出演してくれないかってオファーがあって。そこで初めてSATOLさんの映像を観て存在を知って、これは何がなんでも絡みたいなと思って一緒に出演したのがきっかけです。SATOLさんと喋ってるうちに一緒に何かできないかという話になって、だったらレーベルを一緒に立ち上げて面白いことをやっていこうってなって。

もともと俺は日本の歴史とかにはすごく疎くて、全く分からない状態だったんですけど、SATOLさんから日本の過去の歴史をどんどん教えてもらう内に、日本って素晴らしい部分があるんだなって気付かされることが多々あって。逆に俺がそうやって教えてもらったからこそ日本の良さを知れたんで、〈-滅- METSUJP〉とSATOLさんの音楽を通して、俺のように日本の素晴らしさに気付いてくれる人が増えてってくれたら嬉しいなって。このレーベルに対して、そういう思いが一番強いです」

一同「(拍手)」

SATOL「素晴らしいですね。霏deさん、実はそんなに燃えてたんや。特に周りに広めたいっていうのが嬉しいかな。自分の思ってる日本でいいし、それが身近でもいいから」

霏de「だから〈-滅- METSUJP〉は音楽レーベルというより、どっちかっていうとエンターテイメント性そのものなんです。SATOLさんのライブを観た時に音楽だけに留まってないように感じたし、やっぱり芸術、エンターテイメントだなって思ったし」

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