グルーヴィーな演奏とメロウネス溢れる歌声で〈ツマミになるグッドミュージック〉を奏でる4人組、YONA YONA WEEKENDERS(以下、YYW)。先日メジャー・デビューを果たし、シングル“いい夢”を発表した彼らのフロントマン、磯野くんの連載がスタートします。

YYWの名曲“R.M.T.T”(ラーメン食べたい、の意)からも察せられるように、自他ともに認めるラーメン好きの磯野くん。この連載では、そんな彼が愛してやまないラーメンを、音楽にたとえながら紹介してくれます。

記念すべき初回は、東京・方南町の濃厚ラーメンかなやに入店。かなやの豚骨ラーメンから聴こえる歌とは? *Mikiki編集部

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2021年のシングル“いい夢”

 


かつて方南町に〈桂家〉というラーメン屋があったことをご存知だろうか? 丸ノ内線方南町駅の北側、環七沿いに位置する都内No.1の呼び声高かった家系ラーメン店だ。獣を感じるパンチの効いた濃厚スープに、歯切れの良い酒井製麺の中太麺。それはそれは衝撃的な出逢いだった。

それからというもの、数え切れないほど足を運んだ。ライブの打ち上げのシメ。音楽を諦めて就職した日。上司に滅茶滅茶に怒られて落ち込んだ日……。桂家のラーメンはどんな時も僕に明日への活力と若干の胃もたれを与えてくれた。

そんな愛すべき桂家、残念ながら店主が病に倒れ2017年に惜しまれつつも閉店してしまう。深刻な〈桂家ロス〉に陥った僕はこのやり切れない想いを曲にして今も歌い続けている。それが我々のサードEP『唄が歩く時』に収録されている”R.M.T.T”(ラーメン食べたい)だ。

”R.M.T.T”のライブ映像
 

このリリースに託けて各所でしつこい程にラーメン好きをアピールしていたら、ありがたいことに今回の連載のお話を頂いた。なんでも〈ラーメンに音楽を絡めて〉書いて欲しいとのこと。油そばには必ず酢とラー油を絡める僕だが、果たして〈ラーメン × 音楽〉というハイブリッドな記事が書けるのか。そんな一抹の不安を抱きつつ、記念すべき第一回目をどこでスタートさせるか悩んでいたところ、桂家跡地に出来た一軒の豚骨ラーメン屋の存在を思い出した。

そんなこんなで今回お邪魔したのは〈濃厚ラーメンかなや〉。桂家との関係性は無いが、TRYラーメン大賞の新人賞を受賞している実力派の豚骨ラーメン屋だ。

店の扉を開けると、見覚えのある木製のL字カウンターが目に入る。向かって右側にあった漫画本の棚は荷物置きになっていたが、内装は桂家の頃からほとんど変わっておらず、少し懐かしい気持ちになった。

一番人気の得ラーメン白(1,000円)の食券を購入。麺は細麺と太麺から選べるが、僕は太麺をチョイスした。このご時世で大盛り無料という、ユーミンの歌声の様な“やさしさに包まれたなら”、後は完成を待つのみ。

注文から10分も経たぬ間に着丼だ。どんぶりに溢れんばかりのチャーシューの花が咲いており、心が躍る。絶妙な茹で加減の味玉、色鮮やかな九条ネギにキクラゲは、“わき役でいいから”と謙遜するが、全ての具材がスープの上に美しく収まっている。

トッピングを掻き分け、まずはスープを一口。豚骨の臭みを全く感じない濃厚なスープはまさに豚のポタージュだ。粘度は高いがクセがないので、“春よ、来い”のイントロのピアノの様にテンポ良くサラサラ飲めてしまう。

お次はプリプリに茹で上げられた太麺をリフトアップ。濃厚スープが太麺にしっかりと絡まる。少し芯が残る歯応え抜群の麺を噛み締めるごとに、小麦の風味が口内を満たしていく。見た目のインパクトに惑わされがちだが、ひとつひとつがとても繊細で手抜きは一切ない。夢中で食べ進めればまるで“真夏の夜の夢“の如くあっという間に完食だ。

帰り道に聴く“Hello,my friend”が心に沁みたが、かなやに出逢えた“ANNIVERSARY”。もう桂家の幻影を追い求めるのは止めにしよう。

 


RELEASE INFORMATION
YONA YONA WEEKENDERS メジャー・ファースト・シングル“いい夢”

YONA YONA WEEKENDERS 『いい夢』 スピードスター(2021)

リリース日:2021年4月7日
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