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結論としての“Great Pretenders”にたどり着くために

――コロナ禍が広がっていく中で、アルバムで表現したいことも変わっていきましたか?

Rei「そうですね。ツアー中も〈こういうアルバムにしたいよね〉みたいな話は前もってしていたんですけど、コロナになってからは〈その時の感情〉がより大事になってきたというか。テーマを決めて、そこに向かって進んでいくというよりももっと自然な流れに任せていた感じです。歌詞にはコロナ禍での鬱屈した気持ちが反映されている曲ももちろんあるし、本当にこの1年の気持ちがシンプルに入ったアルバムになっています。サウンドメイキングも、コロナになっていなかったらまた全然違ったものになっていたでしょうね」

――〈鬱屈した気持ち〉というのは具体的には?

Yohey(ベース)「アルバム制作が進んでいくのと並行してコロナの感染も広がっていったから、その時々の気持ちが段階的に反映されていると思うし、それは僕らだけでなく世界中の人たちが共有していたものだと思うんですよ。〈怖いな〉から始まって〈どうすんねん、これ〉〈ああ、マジでやばい〉〈もうそろそろ収まるかな……?〉みたいな。そういう気持ちの移り変わりは、昨年の4ヶ月連続リリースにもそのまま反映されていたし」

『Turn』収録曲“Pyramid Shakes”。2020年6月にシングルとしてリリースされた。Newspeakは同年7月に“Another Clone”、8月に“Parachute Flare”、9月に“Blinding Lights”を4ヶ月連続でリリースした

Rei「そう考えると今まで経験したことのない不思議な現象だよね。みんなが同じ時に、同じシチュエーションになって、同じような気持ちでいることなんてまずないじゃないですか。それをそのまま歌詞に反映させているから、アルバムの歌詞を読んでもらえば僕らが去年何を考えていたのかが全て分かるという」

――ある意味では、ドキュメンタリー的な作品とも言えますよね。

Rei「かも知れないです。ただ、最終的にはこの混迷した状況を乗り越えよう、きっと乗り越えられるという〈いい未来〉につながるようなアルバムにしたいという気持ちはありました。

なので、結論として“Great Pretenders”という曲が作れたのは良かったなと思っていますね。あの曲にたどり着くために“Pyramid Shakes”や“Parachute Flare”みたいな結論までの過程になる曲があるという」

Steven(ドラムス)「確かにそうだね」

『Turn』収録曲“Parachute Flare”

 

Turnをして〈いい未来〉へ

――アルバム・タイトルはどのようにして思いついたのでしょうか。

Rei「去年の6月くらいに“Great Pretenders”の歌詞ができて、そこでもう〈タイトルは『Turn』でいきたい〉という話になっていたと思う。“Great Pretenders”の歌詞にも〈Turnをして前を向こう、乗り越えてゆこう〉と歌っているところがあるのですが、アルバム制作も紆余曲折があっていろんな感情が生まれたけど、いま話したように最終的には〈いい未来〉へ行きたい、そのターニング・ポイントが〈今〉だという気持ちです」

――アートワークも今回、インパクト大ですよね。これまでの抽象的な作風とはかなり違うし。

Rei「アートワークはこれまでと同じく、デザイナーの河島遼太郎さんに全てお任せしています。タイトルは割と早い段階で決まっていたので、それをお伝えして曲も聴いてもらった上でこうなりました。もう、イメージ通りでしたね。ちなみにこの巨大なコーン、合成じゃなくて本物なんですよ」

『Turn』アートワーク

――え、そうなんですか?

Yohey「豊洲のホームセンターに10年売れ残ってたらしいです(笑)。これ1個持ち運ぶために専用のハイエースがいるっていう(笑)」

Rei「ツアーとかでも使いたいんだけど、さすがに持ち歩けない(笑)」