INTERVIEW

showmoreの新作『too close to know』に込められた愛と人間模様の物語

井上惇志と根津まなみは〈ソウル〉ミュージックを奏でる

(左から)根津まなみ、井上惇志

ヒット・シングル“circus”(2017年)と、それに続くデビュー・アルバム『overnight』(2018年)の成功も記憶に新しいshowmoreが、新作『too close to know』を携えて帰ってきた。いまやシーンの顔となったシンガー・SIRUPとの色鮮やかなシングル“now”がすでに大きな話題となっていることは、ご存知の方も多いはずだ。

本作には、Shunské G & The Peasのタイヘイ(ドラムス)や山田丈造(トランペット/フリューゲルホーン)、SoulflexのFunky D(ベース)やMori Zentaro(プロダクション)、元CICADAの櫃田良輔(ドラムス)、Lululuの玉木正太郎(ベース)、そして新進気鋭のプロデューサーであるTepppeiやShin Sakiura、ODOLAのPamなど、新旧の仲間たちが貢献している。〈自然と友人たちが参加しただけ〉と本人たちは語るが、この『too close to know』から新たな音楽シーンの地図を描くことすら可能だろう。

紆余曲折を経ながら制作され、難産だった楽曲も少なくないという本作。そんななかで〈愛〉というテーマにたどり着いた『too close to know』について、井上惇志(キーボード)と根津まなみ(ヴォーカル)の2人が語る。

showmore too close to know newscope(2019)

 

本当の意味での〈ソウル〉

――新作『too close to know』における音楽的な進化は、前作『overnight』発表以降のバンドやシーンの状況、リスナーの感覚の変化に対応したものでもあるように感じたのですが、実際はいかがですか?

井上惇志(キーボード)「showmoreとしての活動のスタイルは、しっかり固まってきましたね。前作は2人になって初めての作品で、いろいろと手探りだったので。去年の12月のワンマン・ライブを経て、活動のやり方はしっかりしたと思います」

※2018年12月5日に東京・渋谷WWWで開催された〈showmore one-man show「newscope #0」〉

根津まなみ(ヴォーカル)「そうですね。私はもともとシンガー・ソングライターで、すごく内向的な音楽をやっていて。それで井上くんと出会ってshowmoreを始めて、外に向いた音楽になっていったっていうのがあるので」

井上「変わらないものもあるよね」

根津「そうだね。井上くんは、私の歌や歌詞を普遍的なものとして扱ってくれるので」

井上「showmoreを構成する核なんです。あと、同じシーンとして語られるアーティストと比べて自分たちがちょっと異質なのは、サウンドの広さや幅があることだと思っていて。

ジャンルにも収めづらいから〈センセーショナル・ポップ〉って言っていたんですけど、フォーマットとしてのポップスには当てはまらない部分がある。それは、根っこにものすごくオルタナティヴな精神もあるからなんですよね。音楽的におもしろいことをしたい反面、歌や詞を届けたいから外に開かれているものを作る、っていう。

それをうまく表わす言葉がなくて、ひとの心に波紋を立たせるような音楽という意味で、〈センセーショナル・ポップ〉ってつけてみたんです。最近は恥ずかしいから言ってないけど(笑)」

根津「そうだね(笑)」

井上「本当はジャンルなんてどうでもいいんですけど、意外とジャンルで語りたい人が多いから、しかたなくつけて。〈アーバン・ポップ〉とか〈シティ・ポップ〉とか、みんな好き勝手に言っているけど、自分たちはそういうものを横断するような音楽をやっているから。〈インディーR&B〉はちょっと近いけど、〈リズム・アンド・ブルース〉ではないし」

根津「R&Bは私が一切通ってないから、どうしても出せないんですよね」

井上「僕は、ある意味〈ソウル〉だと思っていて。フォーマットとしてのソウルじゃなくて、本当の意味での〈魂〉みたいな。まず根津の歌があって、それをいちばんいい形にアレンジするとき、僕がいままで通ってきた音楽の要素を手札として使っている。バラバラな要素を繋ぎ止めるのは、根津の歌と世界観なんです」

『too close to know』収録曲”1mm”

――根津さんがR&Bを通ってないことは、ヴォーカリストとしての資質にどう関わっていると思いますか?

根津「R&Bは教えてもらったものであって、自分で取り入れたものではないから、染み込んでいないんです。〈着る〉ことはできるんですけど。だから、あくまでも歌謡曲的というか、普通の日本人の感覚としての歌を、いまのサウンドのなかで歌えるようになったんですね」

――以前のバンドから2人編成になったことには、音楽的な志向性が反映された結果でもあるんですか?

井上「昔のメンバーは一流のプレイヤーではあったんですけど、それはあくまで〈楽器奏者〉っていう狭い意味のもので、〈音楽をなぜ作るのか?〉とか、根幹の部分では共鳴できなかったんです。

僕らは演奏だけじゃなくて、音楽や文化を作って誰に届けたいかとか、そういうことを考えているんですよね。自分たちにしかできないことや、シーンと時代性をじゅうぶん考えたうえで、いま出てきたものがこれだった」

TOWER DOORS
pagetop