数々の記録破りで2021年を席巻している18歳のファースト・アルバム。芸能界チックなゴシップやSNSを舞台にしながら、雪だるま式に注目が膨らんでいった様子はまさに社会現象だが、そこに音楽の根本的な魅力がなければ現在のように世界を巻き込む共感を得てはいないだろう。憧れのテイラー・スウィフトやロードの系譜に連なるリリカルな傷心ソング“Drivers License”然り、繊細さと正直さをもって思春期を表現できる、普遍的なシンガー・ソングライターが彼女の本質なのだ。ポップ・パンクの“Good 4 U”や90年代オルタナ風な“Brutal”のざらつきもZ世代の激情を受け止めるだろうし、旧友に想いを馳せる“Hope Ur OK”で幕を下ろす頃には誰もが自身の〈あの頃〉を思い返すだろう。