映像作家、フェミニストのフェイス・A・ぺニックがディアンジェロの『Voodoo』を解読。ディアンジェロの最高傑作として名高い『Voodoo』だが、セクシュアリティー、父権など現代社会の重要なテーマが取り上げられている。著者はアルバムを、音楽的なルーツ、R&Bというジャンルの生成、アフリカン・アメリカの男性が置かれている状況というテーマへと分解し、ディアンジェロの〈男らしさ〉という表象の解体という実験を丹念に読み解いている。ジェンダー論、音楽論の両面から見事な成果をあげた一冊。木津毅による解説も素晴らしい内容だった。