ギタリストのジェシー・ジョンソンがBillboard Liveで来日公演を行う。公演は7月10日(水)にBillboard Live OSAKAで、7月11日(木)にBillboard Live TOKYOで開催される。

元ザ・タイムのギタリストであり、現在はディアンジェロ&ザ・ヴァンガードのメンバーとしても活躍するジェシー・ジョンソン。70年代からモーリス・デイ(ヴォーカル)らとザ・タイムに参加し、プリンス・ファミリーの重要人物として活躍した。

ザ・タイムといえば、殿下ファンにはお馴染みのミネアポリス・ファンク・バンド。80~90年代にR&Bシーンで圧倒的な成功を収めたプロデューサー・チーム、ジャム&ルイスことジミー・ジャム(キーボード)とテリー・ルイス(ベース)がメンバーだったことでも知られる。

特にファースト・アルバム『The Time』(81年)はよく知られているだろう。実はこのアルバム、ジャケット写真には6人のメンバーが写っているにもかかわらず、デイ以外のメンバーは演奏には不参加。ジェイミー・スター名義でプロデュースしたプリンスが演奏をすべて行っており、デイは殿下のガイド・ヴォーカルに沿って歌っただけ、というほぼプリンスのソロ・アルバムだ。

ザ・タイムはそのような状態であったが、同時期にジョンソンはプリンスの活動にもしっかりと貢献。殿下が作り上げた女性ヴォーカル・トリオのヴァニティ・6の曲を書いたり、ザ・タイムのサード・アルバム『Ice Cream Castle』(84年)では“The Bird”“Jungle Love”という2曲のヒット・シングルの作曲に参加したりと、作曲家として名を上げていく。

ザ・タイムの84年作『Ice Cream Castle』収録曲“The Bird”“Jungle Love”

85年、ザ・タイムを離れたジョンソンは『Jesse Johnson's Revue』でA&Mからソロ・デビュー。その後は『Shockadelica』(86年)、『Every Shade Of Love』(88年)とアルバムを発表していく。

85年作『Jesse Johnson's Revue』収録曲“Can You Help Me”

この時期のジョンソンの活動で知られているのは、映画音楽の仕事だ。「ブレックファスト・クラブ」(85年)、「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」(86年)といった80年代のきらびやかな映画にジョンソンは楽曲を提供している。また、ジャネット・ジャクソンやシェリル・リンといったアーティストのプロデューサーも務めた。

90年にはザ・タイムが再結成。プリンスの映画「グラフィティ・ブリッジ」と連動したアルバム『Pandemonium』を発表する。同作ではギタリストとしてのジョンソンが大活躍しており、激ファンキーなリズム・ギターとカッティングを聴くことができる。

ザ・タイムの90年作『Pandemonium』収録曲“Jerk Out”“Chocolate”

映画音楽の作家として活動しつつ、96年には久々のソロ作『Bare My Naked Soul』をリリース。ジミ・ヘンドリックスばりに歪んだギターでリフを聴かせる、ブルース・ロック/ハード・ロック的なアプローチに挑んだ(同作のサイケデリックなギター・サウンドには、後のディアンジェロ&ザ・ヴァンガードでの活躍に通じるものがある)。

96年作『Bare My Naked Soul』表題曲と収録曲“Nevermind Saturn Sunrise”

その後ジョンソンの音楽活動は停滞してしまうが、2009年には待望の復活を遂げる。2枚組、29曲入り(!)の超大作『Verbal Penetration』は、ザ・タイムから『Bare My Naked Soul』までの総決算とも言えるような内容。ほぼ14年の沈黙を埋めるかのような厚みと熱量で、多種多様なファンクを聴かせる一大絵巻のような傑作だ。

2009年作『Verbal Penetration』表題曲と収録曲“100 Wants Of Funky”

そうしたジョンソンのミュージシャン/ギタリストとしての凄さに目をつけたのがディアンジェロ。彼の14年ぶりのアルバム『Black Messiah』(2014年)には、バンド〈ザ・ヴァンガード〉のギタリストとしてがっつりと参加している(“Ain't That Easy”や“1000 Deaths”といった曲のフィードバック・ノイズや歪んだギターは、ジョンソンのプレイではないかと予想するが……)。さらにディアンジェロの〈The Second Coming Tour〉(2015年)には、ギタリストの一人として帯同した。

ディアンジェロ&ザ・ヴァンガードの2015年のTVパフォーマンス映像。2014年作『Black Messiah』収録曲“The Charade”。演奏しているのは上手がジェシー・ジョンソンで、後半にはギター・ソロを披露している

プリンスとのザ・タイムからディアンジェロ&ザ・ヴァンガードへ。ジョンソンは現在進行形で、ファンクの歴史における最重要人物2人と共演しているギター・レジェンドだと言えよう。そんなジェシー・ジョンソンの待望の来日公演、ファンは観逃せないものとなっているはずだ。

 


LIVE INFORMATION
ジェシー・ジョンソン

2019年7月10日(水)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30
サービスエリア 8,000円/カジュアルエリア 7,000円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら

2019年7月11日(木)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30
サービスエリア 8,000円/カジュアルエリア 7,000円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら

■メンバー
ジェシー・ジョンソン(ギター/ヴォーカル)
バニー・ハーツ(キーボード)
デル・アトキンズ(ベース)
ブライアン・エドワーズ(ドラムス)