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UR都市機構と横山町馬喰町街づくり株式会社がこの街のために新しく立ち上げたプロジェクト〈さんかく問屋街アップロード〉は、この地域に参画(さんかく)したい人を募るプロジェクトです。
問屋街と仲良くなって、街に溶け込んで、街に新しい活気を作る。例えば、空き店舗の軒先を借りてカフェをやるとか?
そんなことをやってみたい!という方を募っています。

場所と人、そして自分が作る音楽の公共性について考えていた私は、〈さんかく問屋街アップロード〉とのコラボレーションで“レスタウロ”という曲を書きました。

盟友斎藤拓郎と作った摩訶不思議MVシリーズ第2弾

ミュージック・ビデオは、馴染みの斎藤拓郎、建築家の勝亦優裕くん、3DCGデザイナーの吉田敬介くんと共にチームを組んで制作しました。(ちなみに、全員出演してます。)
普段の街の風景をどうやったら面白く見せることができるかというテーマを作り、ロケハンにつぐロケハンをし、〈ここでこういう振る舞いをしたら面白いのでは?〉という作戦会議を重ねました。

結果的に、繊維問屋さんの屋上でBBQをしてみたり、建物と建物の隙間(この街ならではの空間)でフォーマル・ディナーをしてみたり、空き地をリビングにしてくつろいでみたり、廃墟で魚釣りをする、という振る舞いを映像化しています。

また、今回は動画撮影と共に建物や街を特殊な3Dカメラで撮影しており、そちらのデータを吉田くんにお願いして3DCGで街の中を移動しているような映像を作ってもらい、映像監督の拓郎がストーリーを組んで3DCGと実写を繋げてくれました。

MVの撮影風景(photo by Yusuke Katsumata)
道路の真ん中で向き合う私と拓郎
この撮影は注目の的で、後日街中で噂になっていました。

空き地でリビング

廃墟ビルの2階から釣りをしてみました。

狭い路地でディナー

心優しいネクタイ屋さんのお隣をお借りしました!

問屋街といえばダンボール!ということで、ダンボールで寝てみました。

心優しい繊維問屋さんが屋上を貸してくださいました。
薪を焚いたら消防が来てしまいました。ごめんなさい。

〈レスタウロ〉はイタリアの建築用語で〈修復〉という意味です。
〈リノベーション〉的な意味で使われる言葉で、絵画、建築物、場所など、様々な対象に使う言葉だそう。
〈リノベーション〉というと〈新しく作り変える〉という意味合いが強く感じられますが、イタリアでは〈修復すると共に新しいクリエイティヴを生む〉という意味を込めて使われるのだとか。
適切に修復することはもちろん、今ここに残っているものが持つルーツを知り、大切にし、現状をどうやったらもっと良くできるか? アップデートできるか?という心意気なんです。
それは、三角形の街が持つ心意気に似ていました。

そしてそれは、私にとっての2020年の変化、音楽が持つ人との関わり方の可能性、人と場所、についても同じでした。
生活が変わること、人との関わりで辛くなること、笑えること、全ての感情を行動の起点として私は捉えたいと思うのです。
自分のルールでは理解できないことを排除したりそれに対して怒ったりするのではなく、紐解いてみる、話してみる、ということ。
自分、そして周りになるべく優しくいること。
そのために想像力を絶やさないこと。常に多面的に考えてみること。
その上で構築される関係性を、私は信じたいと考えています。

街も人も音楽も、形を変えながら生きて行くことを常に感じていたいですね。

 


RELEASE INFORMATION

沖メイ 『レスタウロ』 FRIENDSHIP.(2021)

リリース日:2021年4月28日
フォーマット:デジタル
配信リンク:https://FRIENDSHIP.lnk.to/Restauro

TRACKLIST
1. レスタウロ

 


PROFILE: 沖メイ
東京生まれ。日本のバンド・ZA FEEDOのヴォーカル、作詞、作曲、アートワークを担当。小学校に行かず、東京シューレで過ごした後、自由の森学園に入学。卒業後、和光大学に進学し、ジャズ研究会にてビッグバンドを始め、テナー・サックスを担当。ジャズやモータウンなどをたくさん聴いて過ごす。
社会人を経て2012年、ZA FEEDO結成後から作曲を始め、エレクトロニカ、民族音楽、クラシック、ジャズ、ロック、猫、インコなどから影響を受けた楽曲を制作。ZA FEEDOとしてシンガポールの野外フェスに招聘されるなど精力的に活動。
2016年、LAから来日したマイ・ハワイ(my hawaii)のジャパン・ツアーに帯同。同年8月には沖メイとしてノウワー(KNOWER)の初来日公演のゲスト・アクトを務める。
2017年、初めての単身ツアーとしてヨーロッパへ。ベルギー、フランスを廻る。
2019年、ZA FEEDOの活動休止を機に本格的にソロ活動をスタート。
2020年1~2月、台湾、東名阪ツアーを開催。同年7月、ソロとして初めての作品『Half Way For Now』をリリース。
2020年12月から、〈サステナブル〉〈アップサイクル〉などの観点からライブ会場をメインとした空間装飾&演出をするプロジェクトをスタート。
2021年4月、UR都市機構のプロジェクト〈さんかく問屋街アップロード〉のタイアップとして“レスタウロ”をリリース。
その他の活動として、モノンクルのビルボードライブ公演シリーズにコーラス/エレクトロニクスでサポート参加。藤原さくらのデジタル・シングル“Twilight”にハーモニー&コーラス・アレンジで参加。