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【沖メイのサウンズ・オブ・クリーチャー】第2回 生き物にまつわる曲について

自他ともに認める生き物好きの音楽家・沖メイ。最近は日本科学未来館〈マンモス展〉にいたく感動したとか。そんな彼女を中心とするバンド・ZA FEEDOは、10月25日(金)のワンマン・ライヴ〈last camp fire〉をもって活動休止することが発表されました。

その一方で、ますますソロ活動を活発化させている沖の連載〈沖メイのサウンズ・オブ・クリーチャー〉がこのたびスタート。第2回は、前回の予告どおりに生き物にまつわる(変拍子だらけの)自身の楽曲、そしてその背後にある思いを綴ってくれました。 *Mikiki編集部


 

Photo by Kana Tarumi

こんにちは!
沖メイです。

連載第2回目となりました!
今回は私が作った生き物テーマ曲を紹介させてください。

 

インコのウブちゃん

まずひとつめは、私の愛鳥ウブちゃんについて書き下ろしたもの。

歌詞は〈ウブの色。みどりいろ。顔だけ赤い。うぶ、真っ赤っかだ!〉というウブちゃんの毛色を言葉にした歌詞。

この曲を書いたきっかけは、私のバンドZA FEEDOにおいて新しい作風を探っていた時。
それまでは、カッコいいと思われる曲を作ろうと心がけて“Words of Silence”などを書いていましたが、リラックスして歌える、作曲できるものを探っていました。

そこで、昔から好きだった民族音楽を改めて聴き直し、土着的文化・古くから根付くものを大切にしている文化や音楽シーンを調べているうちに、私の中での土着的なもの=私の愛するものを曲にしようと行き着いて生まれた曲です。

“UBU”は、冒頭が7拍子、中盤のセクションで6拍子になり、アウトロで7拍子に戻ります。

こちらはバンド・ヴァージョン。

ZA FEEDOの2016年作『2772』収録曲“UBU”

ウブちゃんは、2019年6月に私がドイツに旅立ったと同時に天国へ行きました。
不思議なことに、旅先では野生のインコが突然現れたり、大きなミツバチが私の膝の上でゆっくり毛づくろいをいをして花粉ボールを置いていってくれたり、電車の中で女の子にすごく話しかけられたり、小さな幸せが沢山あって、まるでウブちゃんが側にいるようでした。

私はスピリチュアルなことは信じないタチだけれど、こういう素敵なことはきっと日常に沢山訪れていて、それを気づかないまま日々を過ごしているのかなと感じ、気づかせてくれたウブちゃんにますます愛を感じました。

中学生の時に出会い、19年間一緒にいてくれた彼とは、永遠の大親友です。

 

初めてのソロ演奏

今から3、4年前、〈ソロ演奏もやってみたいなぁ〉と考えていたら、Yasei Collectiveというバンドの人が〈リリース・パーティーを代官山UNITでやるから、オープニングでソロをやって!〉と誘ってくれて、いきなりソロ初舞台をUNITでやらせていただき、“UBU”や他のソロ曲を初披露しました。

勢いづいた私は愛猫の曲も作り始めることに。
私の愛猫チロは、瞳の形がユニークなので、それをテーマにしたのです。
普通、猫の目って縦長になるじゃないですか?
でもチロは、ミスター・ポポのような点々目なのです。

夜な夜な子猫チロを顔に乗せ、〈チロ、目が点だね、ちろのめ、ちろのめ、ちちちろのめ〉と適当に鼻歌を歌っていたらできたのが、“チロの目”。

ZA FEEDOの2016年作『2772』収録曲“チロの目 -Something Happy ver -”

コラージュを使った私の手製アニメーション・ビデオです。

イントロと冒頭は7/4拍子、中盤は13/16、12/16、11/16、10/16……と展開。後半戦は8/4と7/4の繰り返し。
歌っていた鼻歌をそのまま打ち込んだので、なかなかの変拍子に。

この曲は完全に当時の趣味を詰められるだけ詰めて作った曲ですが、そのときTwitterで猫バカっぷりを発揮していたところ、オニババ子さんという方からDMをいただき、猫好きのための猫コンピ・アルバム『ベスト オブ ハバねこポッセ2』(2015年)に収録していただくことに。
同盤には、偶然にも高校の同級生であるMTGが所属するCASIOトルコ温泉も愛猫ソングを寄稿しておりまして、縁というのはこうやって繋がるから本当に面白いですね。

さて、“チロの目”ですが、これをバンドに持って行った時は怒られました(笑)。
みんなが頑張ってくれたバンド・ヴァージョンはこちら。

ZA FEEDOの2016年作『2772』収録曲“チロの目”

10月25日のZA FEEDOラスト・ライヴでは久々にやろうと思ってますが、できるかな、メンバー達よ(私も)。

さて、そんな可愛いチロと出会ったのは、地域猫活動をする母宅にて。
目ヤニだらけで変な模様で毛並みもバサバサの辛い風貌で……。
性格だけはとても懐こく、ドアを開けたら飛び込んでくるような子だったので、獣医に連れて行くと〈これはもう保護してあげてください〉とアドバイスをいただき、私の世界一の王子になったのです。

“UBU”も“チロの目”も、歌詞は本当にシンプル。
当時、作詞に悩んでいた背景もあって、なるべく自分が自由で素直にいられる感覚でものを作りたいと感じて生まれた2曲でした。

 

ライクライカ

そもそも、なぜ私はこんなに生き物が好きなのか……。

まずは、とても愛くるしいからですね。
毛が密集していたり、私たちにはない手足があったり……。
彼らとは言葉を介して接触できないからこそ、その未知なる体や動きや行動が愛おしく、ロマンを感じちゃうのです。

さらには彼らが純粋に生きるということに適応し、その様から学ぶことが多々あるから目が離せないということ。
現代では彼らは人が守らねば生きていけない状況であることが多々あります(記憶に新しいアマゾン大火災やペット産業など)。
私は彼らから学びつづけたいから考えつづけたいし、そのためには守らねばならない。

しかし、好きな音楽が人それぞれなように、これにもきっと賛否両論あると思っています。
猫が嫌いなひともいれば、私のように大好きなひともいるように。

Photo by Kana Tarumi

人間は、生き物を消費しないと生きていけない。
だから私は〈好き!〉だけでなく、考えなければなりませんでした。

動物実験、毛皮産業、食肉産業、ペット産業、殺処分、競馬、ドッグ・レース、トロフィー・ハント、イギリスの狐狩り……などの現状は直視すると辛いですが、そこには生活があり、仕事があることも事実。
無下に、〈NO!〉と言ったところでその責任をだれが負うのか? とても難しい問題です。

幸い今の私には音というツールがあって、そんな思いをこめて”ライクライカ”という歌詞を書くことができました。
作曲はZA FFEDOの監査役・田中“TAK”拓也氏によるもの。
とっても変拍子ながらエモーショナルな曲です。

歌詞の内容はライカ犬のことです。
人間が生き物を讃える一方で、彼らの命を一方的に消費したり、過去を反省しながらもまた同じ道に進もうとする我々のことを描きたくて取り上げたテーマです。

ライカ犬に関しては諸説ありますが、とにかく宇宙にむけて一匹の犬が片道切符で飛び立ったということ、犬は機内で安楽死したということ、かの有名なユーリ・ガガーリンの宇宙飛行に向けて行われたこの実験は、人類の飛躍のために欠かせないということが57年当時は報道されていました。

後に発表された事実で、発車後の機内トラブルにより機内の温度は急上昇し、犬の心拍も急上昇。
高熱によって発射後1、2日ほどで犬がショック死してしまったことが判明します。

詳しく知りたい人はWikiなどをググってほしいけれど、切手や銅像で讃えながらも、その犬は訓練によって狭い室内に慣れるようにしつけられ機内に乗り込み、予定よりも早く死んでしまったこと。
どんなに暑かったろうか、鳴いただろうか、と私は考えてしまいました。

※犬以外にネズミやハエなどが宇宙に行ったり、地球に生還した犬もいるよ

しかし、宇宙の研究によってインターネットが使えて世界の人と交流ができ、世論を知ることができ、何をしたらいいかを考えるきっかけがある時代です。

繰り返したくないけれど、得るものがあったのだとも思います……。

ライカ犬のことは、〈感動話〉や〈偶像〉には変えられないものがあると感じます。
命の上に命が成り立っているということ。“ライクライカ”、聴いてみてくださいね。

ZA FEEDOの2016年作『2772』収録曲“ライクライカ”

 


PROFILE: 沖メイ
東京生まれ。
日本のバンド・ZA FEEDOのヴォーカル、作詞、作曲、アートワークを担当。
小学校がつまらなかったので、幼少期は東京シューレで過ごした後、自由の森学園へ通い、大学時代はテナー・サックスを吹きながらジャズやモータウンなどをたくさん聴いて過ごす。
ソロ活動では、エレクトロニカ、民族音楽、クラシック、ジャズ、ロック、猫、インコなどから影響を受けて製作している。
2017年、初めての単身ツアーとしてヨーロッパへ。ベルギー、フランスを廻る。
動物の絵を描くのが好き。山野楽器 新宿ロックインにてドラムヘッドに動物ペイントする企画を開催&受注中。

 


LIVE INFORMATION

ZA FEEDO ワンマンライブ 〜last camp fire〜
2019年10月25日(金)東京・青山 月見ル君想フ
開場/開演:18:30/19:30
前売り/当日:3,000円/3,500円
予約(ライヴポケット):https://t.livepocket.jp/e/zafeedo

 

Charlie Lim Japan Tour 2019
Charlie Lim × TENDRE

2019年9月12日(木)東京・青山 月見ル君想フ
開場/開演:19:00/19:30
出演:Charlie Lim/TENDRE
DJ:沖メイ(ZA FEEDO)
前売り/当日:3,500円/4,000円(いずれもドリンク代別)

 

TOKYO BEYOND
2019年10月12日(土)、13日(日)東京・渋谷 HOME、LUSH、yinega、十間スタジオ
ライヴ:UHNELLYS/cumulonimbus/The World of Dust/I am Oak/Muff/tio/SaraGrace's OneHotNight/SENKAWOS/沖メイ(ZA FEEDO)/No Gimmick Classics/videobrother/babaroa/Ryo Hamamoto/柳田久美子/フルー/kidono/ユウレカ
DJ:DJ Platurn/GENDER-K/J.Z.T.(HUMAN ELEMENTS)/cozmy(Progress sessions、津田沼ベース)/Aquech(AquechMusic)/DJ OKU/ズンドコ・ロッポンギ
ライヴ・ペインティング:Fuyou Nagashima
前売り/当日:2,500円/3,000円

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