近年ではジャック・アントノフと組んできた才媛が、初のセルフ・プロデュースで完成させた7作目。70年代のグラムやファンクを意識した前作『Daddy’s Home』(2021年)の古典性とは打って変わり、エレクトロニックのビートと人力のロック・ドラム、ディストーションの効いたギターやスペイシーなシンセを切り貼りしていくサウンドは実にフリーキー。デイヴ・グロールやケイト・ル・ボン、マーク・ジュリアナまでを集結させつつ、すべての要素が彼女自身のクリエイティヴィティーに奉仕しているようで凄まじい。天才が本気を出したときの凄さ、常識の枠を超えていく感覚を味わえる。