初のオール・ショパン・アルバムに挑んだインターナショナル・リリース第二弾
2008年に録音(当時14歳)したデビュー・アルバム以来、ずっとショパンの作品に深い関心を持ち続けて来た小林愛実が、ワーナークラシックスとのインターナショナル契約第2弾となる録音をリリースした。大作“24の前奏曲”を含む初めてのオール・ショパン・アルバムとなる。
「実は前作『ニュー・ステージ~リスト&ショパンを弾く』の時にも“24の前奏曲”は候補には上がっていたのですが、その時はリストとショパンという選曲になったので、次にショパンのアルバムを作る時には絶対に『前奏曲集』でと決めていました。ご存知のように、短い作品で構成される『前奏曲集』ですが、どれもショパンが素直に自分の気持ちを表現した作品ばかりで、しかもその気持ちがコロコロ変わって行きます。自由で気まぐれとも言えるし、そういう部分は今の私ととっても良く合っていると思います。これだけ、ショパンが素直に自分の気持ちを表現した作品はないのでは、とも思います。他のショパンの作品、例えば“バラード”などでは、誰がどういう解釈で弾いているかなどが気になるのですけれど、この“24の前奏曲”ではまったくそういう気持ちが起きない。それだけ、自分と合っている作品だと思います」
“24の前奏曲”はショパンがジョルジュ=サンドと共に、冬の寒さを避けて地中海のマヨルカ島へ旅行していた時に完成されたというエピソードが有名だ。
「サンドへの愛をストレートに現した曲も中にはあると思います。そのまま〈好きだ〉って言ってるだけじゃん、と思う曲もあったり(笑)。でも、それを連続した作品としてまとめて演奏するのは、実はとても難しい部分もあります。J・S・バッハの“平均律”にインスピレーションを得て、そのプレリュード(前奏曲)部分だけを24曲並べるというのは画期的なアイディアですし、しかもバッハのように長くはなく、全体を通して弾いても40分ぐらい。だからこそ、24曲全体を通して弾き、聴いて頂くことで、初めてショパンの意図、そして作品の魅力が見えて来る作品ですね」
今回はそれに加えて、2曲の“前奏曲”と題された作品、“幻想ポロネーズ”“幻想即興曲”を合わせたアルバムとなっている。
「特に“幻想ポロネーズ”はショパンの代表曲とも言われますが、〈ピアニストとしての〉、そして〈ピアニストのための作曲家〉というショパンの個性を最も発揮した作品だと思います。ピアノ以外では表現出来ないものをショパンはこの作品に凝縮した、そんなイメージがあります」と小林。フィラデルフィアのカーティス音楽院にまだ籍を置きながらも、秋に開催されるショパン国際ピアノコンクールへの再びの参加も決まり、注目が集まる。
LIVE INFORMATION
新日本フィルハーモニー交響楽団
2021年9月20日(月・祝)愛知 東海市芸術劇場 大ホール
出演:クリスティアン・アルミンク(指揮)/小林愛実(ピアノ)
開場/開演:13:15/14:00
曲目:ショパン:ピアノ協奏曲第1番 他
https://www.tokai-arts.jp/calendar/?y=2021&m=09