インタビュー

ジャリル・レスペール(映画「イヴ・サンローラン」監督)

苦しみから生まれた洗練された美学 伝説のデザイナーの光と影を描き出す話題作

ジャリル・レスペール(映画「イヴ・サンローラン」監督)

 モンドリアン・ルックやサファリ・スーツなど様々な流行を生み出した伝説的デザイナー、イヴ・サンローラン。その波乱に満ちた人生を映画化し、フランスで初登場1位のヒットを記録したのが『イヴ・サンローラン』だ。監督のジャリル・レスペールは、イヴ・サンローランに惹かれた理由をこう説明する。

 「彼はロマンティックで、ヒロイックな人物なんだ。躁鬱病だった彼は、鬱という闇に落ち込まないように常にクリエイションに没頭した。病気と闘うことで斬新なデザインを生み出す、彼のそういう複雑な面に強く惹かれたんだ」

(C) WY productions – SND – Cinéfrance 1888 – Herodiade – Umedi

 

 今回、レスペールはイヴ・サンローラン財団の公認を取り付け、財団のバックアップのもとに本作を制作。サンローランの輝かしい経歴だけではなく躁鬱病やドラッグ中毒など、影の部分も盛り込むことで、サンローランの生き様をドラマティックに描き出した。そして、その物語の中心となるのは、サンローランを献身的に支え続けたパートナー、ピエール・ベルジェとの“偉大な愛の物語”だ。

 「サンローランとピエール・ベルジェは偉大な愛の物語を生きたんだ。僕は映画を撮る前にベルジェと会う機会があったんだけど、その時、二人でサンローランのドキュメンタリーを一緒に観た時のことが強く印象に残ってる。ベルジェは映像を見ながら、まるで目の前に生きたサンローランがいるように〈うまい言い方だ〉〈よく言った!〉と声をかけるんだ。その姿を見て、二人の絆の深さを知って感動したよ」

(C) WY productions – SND – Cinéfrance 1888 – Herodiade – Umedi

 

 映画でサンローランを演じたピエール・ニネとベルジェ役のギョーム・ガリエンヌは、ともにコメディ・フランセーズパリ国立劇団)出身。どちらも端正な演技で観る者を引き込んでいくが、なかでもニネは外見から雰囲気までサンローランに生き写しだ。

 「ニネはサンローランを演じるうえでベースの部分はすでに持ち合わせていた。ピエール・ニネは外見が似ているというだけではなく、頭が良いというのもサンローランと共通しているところだ。それに天性のエレガントさもね」

(C) WY productions – SND – Cinéfrance 1888 – Herodiade – Umedi

 

 映画から伝わってくるのは、ファッションに人生を捧げた、というより、捧げざるを得なかった天才の孤独。サンローランの人生について、監督はこんな風に語ってくれた。

 「サンローランは若くしてスターになり、生涯を共にするパートナーも見つけてしまった。人生がそこで決まってしまったように感じた彼は、人生から逃れようともがき続けていたのかもしれないね」

 そして、もがけばもがくほど美しいものを生み出したサンローランの姿が、本作ではエレガントに、そして、情熱的に刻み込まれている。

 

映画「イヴ・サンローラン」

監督:ジャリル・レスペール
原作:ローレンス・ベナム著 『イヴ・サンローラン』
音楽: イブラヒム・マルーフ
出演:ピエール・ニネ/ギョーム・ガリエンヌ/シャルロット・ルボンローラ・スメットニコライ・キンスキー/他
配給:KADOKAWA (2014年 フランス 106分)※PG12
◎9/6(土)より、角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズほか全国公開 

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