〈ライブ〉にこだわり、〈ライブ〉とともにバンドとして日本のロックシーンにおける存在を築いたUNISON SQUARE GARDEN。Blu-ray & DVD『UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "Spring Spring Spring" at TOKYO GARDEN THEATER 2021.05.20』とそこに封入される新曲“Nihil Pip Viper”のCD音源について田淵智也(ベース)に語ってもらった。

UNISON SQUARE GARDEN 『UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "Spring Spring Spring" at TOKYO GARDEN THEATER 2021.05.20』 トイズファクトリー(2021)

UNISON SQUARE GARDENライブBlu-ray & DVD『UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "Spring Spring Spring" at TOKYO GARDEN THEATER 2021.05.20』が届けられた。〈2012年に行われた東名阪ツアーを再現する〉というコンセプトで行われたツアーの東京・ガーデンシアター公演を収めた本作。このツアーに対して田淵智也は、〈ライブをやる理由があればなんでも良かったんですよね〉と語る。

「昨年の段階から〈2021年は普通にめちゃくちゃライブをやる〉ということは決めていたんですが、まだ新作アルバム『Patrick Vegee』のツアーを急ぐつもりはなくて。そんな中で〈面白いコンセプトで短期間のツアーをずっとやる〉というアイデアが出てきたんです。過去のツアーを今の自分たちで再現して、当時DVDで出してた映像作品もBlu-rayでリリースし直して……みたいなプランが色々噛み合った結果このツアーを発案しました」

“スカースデイル”、“マスターボリューム”、“cody beats”、“オリオンをなぞる”などが満載されたセットリストを2021年のUNISON SQUARE GARDENが〈再現〉するのだから、良くないはずがない。この貴重なステージを全身で楽しむ斎藤宏介(ヴォーカル/ギター)、田淵智也、鈴木貴雄(ドラムス)の笑顔も最高だ。

「(2012年の)『Spring Spring Spring』ツアーの段階では、ライブの構成的な極意が固まってなかったし、曲のバリエーションも全然揃ってなくて。なので今回のツアーも、リハーサルの段階では超苦笑いだったし(笑)、〈これで満足する人は相当のモノ好きだな……〉という気持ちもありました。ただ、〈ステージに立てばいつも通りのライブをする〉というマインドは3人とも共通しているし、本番はいつもの顔つきでできたのかなと思います」

全編クライマックス!と呼びたい本作。特に“ライドオンタイム”、“等身大の地球”、“センチメンタルピリオド”など8曲をつなぐメドレーは、まさに圧巻だ。

「ちょっと長いなと思いました(笑)。なんで“MR.アンディ”がラスサビもつけてちょっと長めの構成になってんだとか、ツッコミどころが多く……。まあ当時の貴重なシングル曲だったからだと思うんですけど。ただ、曲の繋ぎ方とかはひねりもあったりして、すごいかっこいいんですよね。それは今のライブスタイルの曲の繋ぎ方の源流になってるのかも」

初回生産限定盤には、2013年発売のDVD(『UNISON SQUARE GARDEN ONEMAN TOUR 2012~Spring Spring Spring~at ZEPP TOKYO 2012.04.21』)の音源を再ミックスし、Blu-ray化したディスクも収録。9年前と現在とのライブを見比べることが出来る、というわけだ。

「2012年のことは詳しく覚えていないんですが、今のライブ構築のセンスでセットリストの流れを考え直したところは、リバイバルツアーとは言え、変化している部分かもしれません。たとえば“マスターボリューム”に新たにイントロを付けたり、余計なMCをカットしたり……当時はもっと喋ってたんですねよ(笑)。あと、メドレーの終わりでもう一発“シャンデリア・ワルツ”をかまして、そのままMCを挟まずに本編を駆け抜けたあたりは、今っぽくできて良かったなと。とにかく〈3人だけでずっとやってる〉というのは変わっていなくて、これは結構すごいことだなと思っています。紆余曲折もあったし、これからもあるとは思いますが、バンドを続けるセンスにおいては3人とも共通していていいバンドだなと思います」

さらに新曲“Nihil Pip Viper”のCD音源も収録。メンバー3人のスリリングなアンサンブル、ポップで力強いメロディーなど、〈一刻も早くライブで聴きたい!〉と欲望を掻き立てられるアッパーチューンだ。

「最新アルバム『Patrick Vegee』のツアーがようやくできることになったんですけど、リリースから時間が経ちすぎていて、もうライブで演奏した曲も結構あるし、ツアーに向けて何か仕掛けがあった方がいいなと思ったんですよね。できるだけ肩ひじ張らない曲を、今のバンドの演奏でどれだけ派手にできるかという目標に向かって楽しみながら作れたと思っています」

本作『UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "Spring Spring Spring" at TOKYO GARDEN THEATER 2021.05.20』を観れば、〈このバンドのライブを生で体感したい!〉と感じるはず。UNISON SQUARE GARDENのライブの魅力、ライブに対するメンバーの強い意志を実感できることが、本作の最大の意義だろう。そして、マスク&声出し禁止という状況のなか、全力で彼らの演奏を楽しむオーディエンスの姿も本作の大きな見どころだ。

「ライブコンセプト的には〈手ごたえがある〉とは言いづらいし、恥ずかしさもあるんですが、このご時世のなか、去年秋からずっとツアーをやり続けて、着々と客のマインドがしっかりライブという空間に追いついてきたなとは思っていて。(ライブを続けるという)信念を貫いてきた自負もあるし、普通に楽しんでいる客がいてくれる空気も感じていて、そこは正直に誇らしく思います。どんな時代だろうが(ライブに)来たくなるまでこうやって文字だったり、活動だったりでみなさんの横っ面をはたき続けるつもりです。今年も来年も沢山ライブ計画してるんで」