UNISON SQUARE GARDENのBlu-ray Disc/DVD「UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE “ROCK BAND is fun” 2024.07.24 / “オーケストラを観にいこう” 2024.07.25」のリリースを記念して、タワーレコードではフリーマガジン「TOWER PLUS+ UNISON SQUARE GARDEN 特別号」を発行! ここでは中面に掲載されたレビューを掲載いたします。「TOWER PLUS+」はタワーレコード全店にて配布中です!※ *TOWER PLUS+編集部
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UNISON SQUARE GARDEN 『UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE “ROCK BAND is fun” 2024.07.24 / “オーケストラを観にいこう” 2024.07.25』 トイズファクトリー(2025)
2024年7月24日、UNISON SQUARE GARDENが結成20周年を迎えた。同日から26日に行われた日本武道館公演が2025年3月26日にBlu-ray Disc/DVDとしてリリースされた(26日の3日目はUNISON SQUARE GARDENのライブ音源を収めたCDが付属)。「TOWER PLUS+」では、本作に収録されている、異なる趣向で演出された2日間の公演をレビュー。そこに凝縮された、唯一無二の3ピースロックバンドの本質を是非この映像作品で確かめてほしい。
20周年のハイライトとなった3日間の武道館公演
2004年7月24日、ひとつのバンドが産声をあげた。その名もUNISON SQUARE GARDEN。この3ピースバンドは結成以後メンバー編成を一切変えることなく、鳴らされる音楽は強靭さを増しながら突き進んできた。いくつものハイライトを重ねて辿り着いた2024年、バンドはついに結成20周年を迎えた。
このアニバーサリーイヤーのハイライトとなったのが、結成日となる7月24日から26日に行われた、日本武道館公演といえるだろう。結成日となる7月24日は〈ROCK BAND is fun〉として3人でのステージ、25日はオーケストラを迎えての〈オーケストラを観にいこう〉が行われ、趣向の異なるライブとなった。このたびリリースされるBlu-ray Disc/DVDにはそれらが余すことなく収められている。
ロックバンドをあきらめなくてよかった――3人だけの熱を伝えた結成日ライブ
祝祭の幕開けとなるDisc 1には、バンド結成日に行われた3人による〈ROCK BAND is fun〉が収録されている。
まず驚かされるのは武道館のフロアをぐるりと囲んだ多くの観客。約12,500人のオーディエンスが詰めかけたという光景は圧巻のひとこと。開演と同時にイズミカワソラの“絵の具”が流れるいつもの光景のなかで起こる万雷の拍手も、バンドのアニバーサリーを祝うように大きく、そしてバンドがステージに登場するまで絶え間なく響いていった。
そして鈴木貴雄、田淵智也、斎藤宏介の3人がステージに登場し、“Catch up, latency”でいよいよアニバーサリーライブが幕を開ける。3人の装いはいつものライブを感じさせるが、その3人が立つステージは翌日にはオーケストラを含むこともあって巨大そのもの。しかしそこに置かれているのはドラムセットとアンプ、そしてメンバー3人だけだ。セットは至ってシンプルながらも、序盤での“サンポサキマイライフ”や
“Dizzy Trickster”で聴かれる変則的かつ熱量の高いアンサンブルはこのうえないスケール感で鳴り響く。いつもの姿のままで鳴らされる音たちは、UNISON SQUARE GARDENそのものを、そしてロックバンドとしてのプライドを、ありありとこのうえなくかっこよく映し出している。ここの臨場感は序盤ながらグッとくるものがあった。
以降も時にソリッドに、時にポップに、ユニゾンらしいステージが続いていくが、この日はやはり20周年という想いがしっとりと漂う瞬間がいくつもあった。星が瞬くようなライティングのなかでの“オリオンをなぞる”、かつての自分たちを思い出すように披露されたインディー時代の楽曲“いつかの少年”、2020年にリリースされた“101回目のプロローグ”では、〈本当の気持ちを話すのは 4年ぐらいは後にするよ〉のフレーズを〈本当の気持ちを話すのは 今日ぐらいしかありえないだろう〉と変えて伏線回収をするなど、2024年7月24日にUNISON SQUARE GARDENの音楽が鳴らされていることを強く感じさせる。
また斎藤だけではなく、珍しくマイクをとった鈴木、田淵のMCからもそうした想いが感じ取られたし、“シュガーソングとビターステップ”を披露した直後の終盤に田淵から語られた言葉たちにもこの20年というものが集約されていただろう。「楽しいことばっかじゃないからさ、ロックバンド続けるのってやっぱり大変なのよ」と言いながら、「それでも君が好きなロックバンドは君がずっと好きでいてくれたからここまで来れた。ロックバンドをあきらめなくてよかった」というおよそ2分間にわたるスピーチは、紆余曲折の末に辿り着いた20周年という歓喜の瞬間をエモーショナルに映し出していた。
26曲を約2時間30分にわたって届けたUNISON SQUARE GARDENの満20年という瞬間は、3人が持つ魅力を存分に見せながら、一方でやはり20周年らしい祝福に満ちた空間となった。そして翌日、21年目の彼らはあらたな一歩を踏み出すこととなる。