今回の課題盤
――リリースされましたね、初のコラボ盤『VXV』!
「リリース日の会話的なことから始める感じですか※」
※取材日がリリース日でした
――せっかくなんでね。
「えー、リリースしました……」
――ハハハハハハ(笑)。初のコラボ・アルバムということで、奥田民生さんら先輩方から同世代の黒猫チェルシーまで、いろいろなアーティストが参加されていますが、制作の様子はいかがでしたか?
「自分たちだけだったら1週間合宿して録ろう、みたいになりますけど、どなたかと1~2日レコーディングしたら、1週間半空いてまた別の方と……といった感じで、先方の都合にスケジュールを合わせたりするのも初めてだったし、また各々で制作のテンポが違うので、そういった意味でもおもしろかったですね。大変だった、みたいなことはありませんでした」
――RIP SLYMEとの曲はただのコラボじゃないというか、本当の意味でがっちりコラボしてる感じの曲ですよね。
「あれはいちばんがっつりやってますね。逆に民生さんはギターとコーラスだけなど、人によって入ってもらい方が違います」
――私、あれもぜひ観たいんですよ、初回盤に付いているSHIBUYA AX公演のライヴDVD。
「評判いいですよ、普通のライヴ映像ですけど。カメラ12台入ってるんですよ。お客さんのなかにもハンディー・カメラが2人くらいいて。結構すごいです。なのでぜひクリックしてください」
「あと、今年はCDデビュー5周年でして、いまツアーの準備をしているんですよ。ちょうどセットリストを決めたりしていました」
――こんな早い段階で決めるんですね。
「今回はいろいろスペシャルな感じになる予定なので、がっつりやってるんですよ」
――なるほど、楽しみですね! ということで今回ですが……。
「夏だしもっと夏っぽいのにすれば良かったかな~と思ったんですけど……」
――いいですよ、もう9月ですし……(8月中に公開できませんでした……謹んでお詫び申し上げます)。
「あ、そうか。これ聴いたことあります?」
――アラン・トゥーサン『Southern Nights』。このアルバムは聴いて……ないかな……っていうかこの裏ジャケ(笑)。
「それヤバイですよね。なんで、赤バックで切り抜かれてしまったのか」
――ハハハハハ(笑)。
「(笑)。iTunesで買ったらこの表ジャケしか見れませんよ。表は言ってもそんなおもしろくもない、パッとしないジャケじゃないですか(笑)」
――でも緻密に描かれてますよ(笑)。
「まあね、でもやっぱり特筆すべきはこの裏ですよ。シャツのボタンを全部開けてね、赤で抜かれてしまったアラン・トゥーサンのこの儚げな表情! これをタワーレコードで買って確かめてもらいたい。マネしようかな、今度のアー写で(笑)」
――ハハハハハ(爆笑)。してして。
「この毛髪の感じもイイんですよ。アフロ具合というか。デカすぎず、小さすぎずっていう」
――散髪したばかりなのか、小ざっぱりした感じがありますね。
「ですよねえ。しかもおもしろいのが、ブックレットを見ると、この写真の元画像まで見れてしまうという(笑)」
――ありがちです、そういうの(笑)。
「最近知り合いのエンジニアのスタジオに入り浸ってるんですけど、近頃その人がレコードを買いはじめたんですよ。何10年かぶりに」
――ほうほう。
「渋谷にHMVの中古レコード屋が出来たじゃないですか。そこでいろいろ買って、そのスタジオで聴こうってことになりまして。レコードは自宅でも聴きますけど、それはあくまで家のモニター・スピーカーで聴いてるだけだから、大きい音でちゃんとした機材で自分の好きなレコードを聴くことなんてそうないじゃないですか。久しぶりにそういう環境で聴いてみたんですけど、やっぱり音が全然違う、CDとは。で、僕この『Southern Nights』のオリジナル盤を持ってるので、それも持って行って聴いたら、とっても良かった」
――どんなふうに違います?
「上も下も(高い音も低い音も)全然出てない部分がCDにはあるんだなと実感しましたね。あと聴いてて疲れない、どんなに大きい音でも」
――なんででしょう?
「なんででしょうね~? やっぱりCDにすると音がコンプされますから」
――圧縮されると。
「この例えが核心を突いた言い方かはわからないですけど、たい焼きなんかといっしょで、たい焼きはあんこを挟んで焼くと具がグッてなるじゃないですか……(笑)」
――具がグッてね(笑)。
「このグーッが絶対に影響していて、CDになる過程で音を圧縮することによって、サウンドがこんなにも表情を変えるのかと。どっちがいいというわけではないと思うんですけど、やっぱりレコードだとより生々しい音が聴けますよね」
――そのままな感じが。
「うん、そのまま感があります。で、このアルバムは何を隠そう、ピアノはアラン・トゥーサンですが、バック・バンドのメンバーがミーターズ※なんですよ。俺はそれで知って買ったんですが、久々に聴いてみたら1~2曲目が渋すぎで(笑)。カッコイイんですけど、シブっ!て感じ。夏の夕方に聴いたら、すごくテンションが合いました」
※何を隠そう、bounce連載時代の記念すべき第1回はミーターズでした。記事はこちら
「このアルバムを初めて聴いたのは高3くらいだったかな。その時もカッコイイなとは思ったんですけど、あのミーターズを期待して聴くと、ちょっと大人な感じがしてたんですよね。でもいま聴いてみると改めて、やっぱり良い仕上がりだなと思いました。大人の夏を演出できるんじゃないかなと(ニヤリ)」
――ハハ(笑)。
「9月と言ってもまだ暑いですからね(笑)」
――ニューオーリンズものって、ミーターズ以外に取り上げましたっけ……bounce連載時代。
「そういえばやってないですね。ドクター・ジョンもやってないですよね。でもまあ僕はそこまで深くニューオーリンズものを聴いてきてないので。あとはなんだろう……ワイルド・マグノリアスあたりかな。でもワイルド・マグノリアスまで行くと何ていうんですか、もう境地だから(笑)」
――どニューオーリンズ(笑)。
「そう、〈ど〉ですよね」