めぐろパーシモンホールで響かせる〈応援歌〉
東日本大震災から早くも10年もの歳月を経るなか、2016年から始まっためぐろパーシモンホールでの〈東日本大震災復興支援コンサート〉が今年も開催される。そのコンサートに出演するひとりが気仙沼在住のシンガー・ソングライター熊谷育美だ。
気仙沼は、昨年放映の朝ドラ「おかえりモネ」の舞台になった土地で、冬はまるで海から湯気が立っているような〈けあらし〉の幻想的な風景や大島の星空がとびきり美しいという。熊谷育美は、そんな街をキャンバスに歌を書き続けている。
「最初にコンサートのお話をいただいた時は、ただもう感激でした。うれしかったですね。途方に暮れたあの日、どうしたらいいのか、どう生きていけばいいのかわからなかった状況から、今は昔に比べて街がハイカラになって(笑)。そんな気仙沼を見守って応援して下さる方がいる。それをこのコンサートでは実感できるんですね。ですから、私はありがとうという感謝の気持ちと、気仙沼の現状をみなさんにステージからお伝えさせていただいています」
過去5回のコンサートでは弾き語りやアコースティック編成だったりしたが、今回は〈私とピアノ〉をコンセプトに自作曲を中心に演奏される。そのなかに代表曲《雲の遥か》がある。
「震災前に書いた曲なんですが、3月11日以降にこの曲を聴いた方たちから、〈応援歌〉と思って聴いているという声をいただいて。〈負けるな、と/負けるな、と〉という歌詞を自分に言い聞かせるように聴いているとか、最後の〈坂道をのぼって〉という歌詞に津波を逃れて坂道を必死に登った思いを重ねているとか。それは私が意図したことではありませんが、それぞれに解釈していただくことで、私の歌は成長させてもらっているんだなと思っています」
熊谷育美の歌は、〈余白〉のある歌。聴き手の心にそれぞれの思いや映像を運ぶ。しかもそれを伝える声が透明感にあふれ清らかで、優しく、さらに素直な歌唱だから自然と心に溶けるように響く。だから、それぞれの〈応援歌〉になるのだ。
他に気仙沼のソウルソングと言われる“海潮音(みしおね)”も歌われる。
「毎年夏に地元の一大イベント、気仙沼みなとまつりが行われるのですが、そこで必ず演奏されるし、出船という儀式で、さんま船のお見送りをする時もこの曲が流れます。漁師の心意気が描かれていて、聴くと元気になるこの曲も歌おうと思っています」
コンサートには熊谷育美が子供の頃から憧れてきた気仙沼出身のシンガー・ソングライター、畠山美由紀も出演する。彼女もまた透明感あふれる、どこまでも澄んだ美しい声が魅力。そんな2人の歌声がどうホールに響くのか。とても楽しみである。
LIVE INFORMATION
東日本大震災復興支援コンサート
2022年2月27日(日)東京・目黒 めぐろパーシモンホール 大ホール
開場/開演:13:15/14:00
出演
第1部:気仙沼市民吹奏楽団と目黒吹奏楽団による混成楽団 ~海潮音(みしおね)吹奏楽バージョン~
第2部:畠山美由紀/熊谷育美(シンガー・ソングライター)/目黒区立中目黒小学校合唱団
司会:佐藤千晶
料金(全席指定):1,000円(チケット収入の一部を被災地に寄付)
■関連企画
宮城県気仙沼市 物産展&震災復興写真展
東京・目黒 めぐろパーシモンホール 小ホール
10:00~17:00
入場無料
https://www.persimmon.or.jp/performance/sponsored/2021110114220045916.html
主催:目黒区/公益財団法人 目黒区芸術文化振興財団
助成:一般財団法人地域創造
後援:一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会
チケット取り扱い(めぐろパーシモンホールチケットセンター):03-5701-2904(10:00~19:00)/https://www.persimmon.or.jp/
主催・問い合わせ:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団 03-5701-2913