越境のコンサート・シリーズ

 〈Beyond〉か……。なんてステキなマジック・ワードだろう。11月14日、12月1日、12月12日の計3回に分けておこなわれるコンサート・シリーズ〈Beyond〉の、主催者による謳い文句はこんな感じだ。〈東洋と西洋、過去と現代、現実と空想 様々なボーダーを越えて世界を巡る音楽の旅〉。今回は1回目と2回目の中身について簡単に紹介しよう。

 〈シネマの情景〉なるテーマが掲げられた1回目では、4組の出演者がそれぞれ独自のイマジネイションで内外の映画音楽を解釈する。畠山美由紀はジャズやポップスから歌謡曲まで幅広いレパートリーを誇るシンガーだが、今回はショーロクラブのギタリスト笹子重治とのデュオでの参加。となると当然ボサノヴァなどブラジルがらみの楽曲が期待できそうだ。「黒いオルフェ」の主題歌“カーニヴァルの朝”とか「男と女」の“サンバ・サラヴァ”とか。フリー・ジャズから前衛ロックまで技巧的かつダイナミックに弾きまくるピアニストのスガダイローは、幼少時に初めて買ったレコードが「スター・ウォーズ」や「E.T.」などのサントラ盤であり、ジョン・ウィリアムズからは絶大な影響を受けたというから、「ジョーズ」のテーマ曲なんて面白そうだが。あと、「隠し砦の三悪人」や「生きる」など黒澤明作品のスガ・ヴァージョンも聴いてみたい。20年前からデュオを組んでいる喜多直毅(ヴァイオリン)と黒田京子(ピアノ)はアルバム『愛の讃歌 Hymne à l’amour』では“シェルブールの雨傘”“ラストタンゴ・イン・パリ”“ひまわり”“おもいでの夏”“他人の顔”といったサントラ曲もやっていた。タンゴを基軸とする喜多&ジャズが出自の黒田のデュオの演奏はいつだって強烈なパッションと詩情に満ちている。そしてヴェテラン・ピアニスト渋谷毅が今回組むのは、パリ在住の〈旅するサックス奏者〉仲野麻紀。ジャズ × ファンタジーなデュオなればヌーヴェル・ヴァーグ系のシネ・ジャズは是非期待したいところだ。

 12月1日の第2回のテーマは〈ヨーロッパ〉。だがここでは〈ジプシー〉と呼び換えていいかもしれない。出演するのは3組。上々颱風の看板シンガーとしてもソロ活動においても豪快かつファンキーな歌い回しに定評がある白崎映美は、管弦の生楽器やオモチャの楽器などから成るユーモラスな大所帯バンド=パスカルズのリーダー、ロケット・マツ(ピアノ)及び独創的なチェリスト坂本弘道とのトリオで登場。クラリネットの大熊ワタルとシンガーこぐれみわぞうを中心にクレツマー × バルカン音楽 × チンドンとでも言うべき猥雑&知的な高踏パンクを繰り広げるジンタらムータ。そして、様々な伝統音楽やミュゼットなどを柔軟に掛け合わせた表現が〈オルタナティヴ・シャンソン〉などと評される小春&もも姉妹のチャラン・ポ・ランタン+カンカンバルカン楽団。いずれも、独創性と妄想力をバネにジプシー的生命力に満ちたスペクタクルを見せてくれるはずだ。

 


LIVE INFORMATION
越境のコンサート・シリーズ
Beyond
vol.1 Beyond Cinema 〜シネマの情景〜

2022年11月14日(月)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
開場/開演:17:45/18:30
出演:畠山美由紀/喜多直毅&黒田京子デュオ/スガダイロー/渋谷毅&仲野麻紀
前売り:5,600円
全自由席(整理番号付き)税込・ドリンク代別
https://www.plankton.co.jp/beyond/20221114.html

越境のコンサート・シリーズ
Beyond
vol.2 Beyond Europe 〜ヨーロッパ~バルカン超特急〜

2022年12月1日(木)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
開場/開演:17:45/18:30
出演:チャラン・ポ・ランタンとカンカンバルカン楽団/白崎映美 with 坂本弘道+ロケット・マツ/ジンタらムータ
前売り:5,600円
全自由席(整理番号付き)税込・ドリンク代別
https://www.plankton.co.jp/beyond/20221201.html