人里離れた地を想起させるような環境音と砂利道を踏みしめる足音は、パンデミックによってゆっくりと過ぎ去る日々のメタファーだろうか……。だが扉を開けた先には、忘れかけていた音楽が溢れている。ストレートに身体に語りかけてくるようなリズムと親しみやすいメロディーはダンス・ミュージックとして申し分なく、それでいてちょっとした遊び心と政治的主張も忘れない意欲作。聴けば聴くほどにあの薄暗い空間が恋しくなる。