昨夏の話題作が曲順変更および新曲を追加したデラックス版でCD化。大観衆を前にした一連の試聴パーティーが本番で、その記念品にも思えてくるが、表題となったカニエの母ドンダの名を連呼するシリーナ・ジョンソンのチャントを筆頭に、美声を挿むウィークエンドなど多数のゲストを迎え、亡き母ら故人への思い、妻への未練、怨恨などを吐露した壮大なアルバムとなっている。サンデー・サーヴィス・クワイアの厳かなコーラスも含めて『Jesus Is King』からの連続性を感じさせるゴスペル・ラップ的な作品で、勇壮なスタジアム・ロックや不穏なトラップ〜ドリルのムードも濃厚。ドラマティックス曲を引用したソウルフルで哀感漂うアンドレ3000客演曲に初期の彼を思い出し、遠い目にもなる怪作だ。