イェがニューアルバム『BULLY』を本日3月19日にリリースした。

イェ(旧カニエ・ウェスト)は、2024年2月と8月にタイ・ダラー・サインとのデュオ〈¥$〉として『VULTURES 1』および『VULTURES 2』をリリース。同年9月、中国でおこなったリスニングイベント中にソロアルバム『BULLY』をリリースすることを発表した。

イェは一時期、東京に住んで『BULLY』を制作していると報じられており、本作のジャケットとして日本の写真家である森山大道が撮影した写真が公開されていた。またリスニングイベントでは、アルバム収録曲“BEAUTY AND THE BEAST”が先行披露されていた。

その後、今年に入ってグラミー賞授賞式に妻ビアンカ・センソリと参加し、ビアンカが裸に近いドレスを着ていたことが物議を醸したり、ビアンカと破局したと報じられたり、またXでナチスの礼賛や反ユダヤ主義的・差別的な投稿を連発したり、多数のアーティストをディスったりと、音楽以外の言動で悪評を買っていたイェだが、新作『BULLY』をついにリリースした。

『BULLY』は下記のポストなどXへの一連の投稿で無料公開・配布されており、ダウンロードしたファンがXやYouTubeなどに転載している。しかしイェの投稿はリンク先のデータが確認できなかったり、動画のリンク先がセキュリティ保護されていなかったりと問題含みなので要注意だ。

また本作はビデオアルバムとして公開されており、子どもがリング上でプロレスラーと思しき男たちをピコピコハンマーで倒していく映像作品になっている。出演している子どもは、イェの息子セイント・ウェストと見られている。映像はイェが監督し、ハイプ・ウィリアムスが編集したとのこと。

サウンドは近作と打って変わってサンプリングをベースにしており、ビートやドラムも弱め。さらにザ・シュープリームス“You Can’t Hurry Love”やカーペンターズ“Close To You”、カン“Vitamin C”といった大ネタをほぼそのまま使った大胆(粗雑?)なサンプリングないし引用も多い。そして本作には、新作『MUSIC』を発表したばかりのプレイボーイ・カーティと¥$の相方タイ・ダラーも参加しているようだ。なおアルバムは未完成で、ボーカルは半分がAIだとコメントしている。

近年は差別的なリリックをラップし、批判を浴びてきたイェなので、聴く際はやはり注意が必要である。