勝手にしやがれ!! 悔しさを踏み越えて駆け足で成長していく5人が、それでも前に進むための強力なニュー・シングルを完成! デビュー1年を控えた彼女たちの行く先には何が待ち構えている?

 年頭のセカンド・アルバム『PLACEBO』発表からすぐさま、現体制で初のツアーとなる〈REDO BEGiNNiNG TOUR〉で東名阪を巡り、2月21日には過去最大規模のワンマン〈ANTi SOCiAL PAiNS〉にてZepp DiverCityの大舞台に立ったASP……ではありましたが、当日は会場のキャパが半分も埋まらず。開演前の挨拶に登壇したマネージャーの渡辺淳之介(WACK代表)も逆に奮起を誓うほどの状況だったわけですが、ライヴ本編でのメンバーたちは堂々たる振る舞いで持ち曲すべてをパフォーマンス。悩みながらも現実を見据えて意識を新たにしているところです。今回は4月に控えるニュー・シングル“BOLLOCKS”について、同公演から数日を経た5人に話を訊きました。

ASP 『BOLLOCKS』 WACK(2022)

悔しいからどうするのか

――まず直近の話ですが、先日の〈ANTi SOCiAL PAiNS〉についてはどんな感想でしょうか?

ユメカ・ナウカナ?「まず、結成から1年経っていない私たちがZepp DiverCityっていう大きな舞台に立たせてもらえるのって、ホントにありがたいことで。でも、ギリギリまで実感も湧かず、客席を埋められなかったこと自体もよくわからない感情になってしまっていたんですけど、リハーサルの時に渡辺さんから〈ホントに悔しいの?〉って言われて、めちゃめちゃ涙が出てきて。その時に〈悔しかったんだな〉って気付きました。いつのまにか考えないようにしてたんだなって」

ナ前ナ以「そう言われた時には、Zeppが埋まってないことを悔しいと思ってるのか、思ってないのか、自分でもよくわからなかった。ってことは、ユメカが言ったように、どこかで見て見ぬふりしてたんだと思います。やっぱり悔しかったから、前日は〈明日が来なければいいのに〉って初めて思っちゃいました。でも本番を迎えたら楽しかった(笑)」

ユメカ「それに尽きるよね。当日は来てくださった方にどれだけいまのASPを感じてもらえるかなって思いながらできました。いろいろ反省点も見えたし、いろいろ掴めたこともありました」

モグ・ライアン「私は悔しいっていうより、〈自分たちこんなもんだったんだな〉って思っちゃう自分が悲しくって。で、渡辺さんに〈お客さんにもメンバーにも、自分にも向き合ってないんじゃない?〉って言われて。私は自分の本心を隠す癖があるので、自分が本当はどう思ってるのか全部ノートに書き出して、自分のダメな点とも向き合って、それをもう包み隠さないようにしようって思って。ただ悔しいって思うことよりは、悔しいからどうするのかってことと、それでも来てくれた人たちに何を伝えるかが大事だと思いました」

――それが当日のMCの〈かっこつけるのをやめる〉というお話に繋がるんですね。

モグ「はい。ホントにあれが本心です。でも実際に会場が埋まってないことはステージに立って一気に悔しくなりました。あと、渡辺さんが開演前に会場を盛り上げてくださったのもありがたかったですし、それがまた悔しくって。〈クソッ!〉って」

ナ以「めちゃくちゃわかる」

モグ「たぶん私たちも軽く現実逃避っていうか、〈本当にZeppでやるの?〉ってどこかで思っちゃってて。でも実際Zeppに立って、もっと大きなところをめざすグループなんだと芯で実感しました」

――そう実感できたのは良かったですね。

モグ「はい。それに相応しくがんばらないといけないって」

――ウォンカーさんとマチルダーさんはまだ数えるほどのライヴ経験だったと思いますが、当日はいかがでしたか。

ウォンカー・ツインズ「ワンマンは5回目でした。でも、〈悔しいの?〉って訊かれて素直に答えられない自分がいたっていうのは、やっぱり自分の考えが甘かったなって思って。お披露目のLIQUIDROOMの時も人めっちゃ多いなって思ったんです。でもZeppはもっとステージが広くて、人も多くて、気が遠くなりそうでした。何か自分が幽体離脱してる感覚になって……」

ナ以「ウォンちゃんなりに感じ方があったんだね」

ウォン「最初は自分が遠くにいて、〈あっ、踊ってる!〉ってなって、怖いと思ったんです。でもライヴの途中でだんだん自分が戻ってくる感覚がありました。もっと早く慣れてれば幽体離脱する時間もなかったです。それは反省すべき点です」

――それだけ緊張してたのかもしれませんね。マチルダーさんはいかがでしたか?

マチルダー・ツインズ「私はライヴしながら空席が思わず目に留まってしまって、悔しいっていちばん実感したんですけど、その感情に縛られたらいけないって思ったから、空席が目に入った時こそ〈絶対に埋めてやる!〉という気合いで、そういう気持ちの切り替え方ができました。楽しかったです」