カーラ・ブレイの音楽へのラヴ・レター
自然体の巨匠、渋谷毅が、15年ぶりのソロ・ピアノ作のオファーを受ける。渋谷は、その題材に長年渋谷オーケストラで愛奏している、カーラ・ブレイ(ピアノ)の楽曲を選んだ。1980年代初頭に来日したチャーリー・ヘイデン(ベース)のリベレーション・ミュージック・オーケストラで、渋谷は初めてライヴのカーラのプレイに出逢ったという。カーラ・ブレイの飾らないピュアな音楽性、クオリティに渋谷は惹かれた。「弾き語りや、全盲のピアニストのプレイに魅了されるのと、同じ感覚を覚える」と語る。渋谷が尊敬してやまない、デューク・エリントンにはある種の畏怖を覚えるが、シンプルなハーモニーとピアノの響き、音のニュアンスへのこだわり、美しいメロディ、音の間を生かしたプレイのカーラ・ブレイに、自らのプレイと共通項を見出し、親近感を持っていく。冒頭を飾る“Lawns”続く“IDA LUPINO”はシンプルなメロディを慈しむように、訥々と語りかけてくる。“Utviklingssang”と“Soon I will Be Done With The Troubles of This World”は渋谷オーケストラのレパートリーでもあるが、シンプルに削ぎ落としたピアノ・プレイが、渋谷の追求する美の本質に迫る。教会音楽にルーツを持つカーラのゴスペル“The Lord is Listenin' To Ya Hallelujah”も、渋谷の色に染められる。“Little ABI”は高校時代からの盟友、菊地雅章(ピアノ)のオリジナル曲だ。菊地も、またカーラ・ブレイの音楽を愛し、渋谷、カーラと共通する音楽コンセプトを持つアーティストだった。渋谷は、この曲も自由なアプローチで奏でる。エンディングは渋谷のオリジナルの“通り過ぎた時間”。“Little ABI”とこの曲が、アクセントとなり、渋谷のカーラへの愛着を際立たせている。渋谷は「自分の家で、ちょっとピアノを弾いてみた」という感覚のアルバム、と語る。飾らない素の姿の渋谷毅の現在が、鮮やかに浮かび上がる。
LIVE INFORMATION
日本各地のライヴハウスで演奏中。
詳細は、こちらから!
http://blog.4carco.net