デューク・エリントン生誕120周年記念公演を、渋谷毅のアレンジで!
20世紀で最も偉大な音楽家のひとり、デューク・エリントン。氏が生まれたのは1899年4月29日のこと。つまり来春、生誕120周年を迎えることになる。
17歳でピアニストとしてデビューし、25歳の時にワシントニアンを引き継ぎ楽団のリーダーに立った。そして1927年、ハーレムの白人向け高級クラブ〈コットンクラブ〉と契約し、そこでの6年間に絶大なる人気と特徴的演奏法を確立する。“ジャングル・スタイル”は、エリントン楽団の名物サウンドだった。その後もクラブやホテルと協働し、またビリー・ストレイホーンという心強い片腕を得て、40年代末までに作編曲に重点を置いた数多くの名曲を生み落とした。50年代に入ると長尺収録が可能なLPというメディアの登場もあり、スケールの大きいシンフォニックな幻想曲や組曲に取り組み、世界の辺境の風景を音楽で表現することにも挑戦した。一方でジャズの新しい動きであるモダン化に即応し、優秀なソリストたちにも恵まれて(エリントン本人こそがその筆頭といえる)、氏のペンの威力はメロディとハーモニーと各人の個性を独特のコントラストで奇跡的に滲み合わせていった。
マイルス・デイヴィスにせよ、チャールス・ミンガスにせよ、武満徹にせよ、そんなエリントンの音楽にぞっこん惚れ込んで、その影響を自らの音楽に蒸着させた。渋谷毅も同じく敬虔なエリントン信者であるが、彼の場合、エリントンが書く音符へ無用に手を加えようとはしない。それは神からの思し召しであり、イコンのごとく変形は罪であるかのように、いただくとおり演奏することが一番に輝かせられる方法だと…そして、そうできることに無上の喜びを感じるらしいのだ。生誕100年の折に4人組の〈エッセンシャル・エリントン〉を立ち上げ、ゲストも加えながらこれまで3枚のマニアックなエリントン楽曲集を仕上げてきた。多くが気づけずにいたエリントン・サウンドの深層を探求しつつ、多くがエリントン音楽に感じてきたはずの強い香気をしたたかに放ってみせるのだった。
この度、東京・渋谷区の主催で〈生誕120周年記念 “エリントンDE行こう”〉が開催される(詳細は情報欄へ)。出演は〈渋谷毅オーケストラ〉を中心に、〈エッセンシャル・エリントン〉由縁りの数人を加えた構成。よってこれまで渋谷が試してきたものとはひと味違うエリントン観が、音に滲み出てこよう。しかし全編でアレンジを担当する渋谷にすれば、おそらく“新解釈のエリントン”といった趣向にはしない気がする。そこにあるのは、当初よりエリントンが示したかったはずの、少々和魂も混じった“曲の本質に肉薄できる”演奏会であろうかと想像するのである。
LIVE INFORMATION
Live Performance SHIBUYA
デューク・エリントン生誕120周年記念 “エリントンDE行こう”
○2019/3/5(火)19:00開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田さくらホール 4F
【出演】渋谷毅(p,org)峰厚介(t-sax)松風鉱一(fl,cl,a-sax,b-sax)松本治(tb)津上研太(s-sax,a-sax)纐纈雅代(a-sax)石渡明廣(g)上村勝正(b)外山明(ds)関島岳郎(tub)清水秀子(vo)太田惠資(vn)
www.shibu-cul.jp/