3年ぶりのアルバム。ロバート・グラスパーを迎えた“Melt Session #1”をはじめ、カリーム・リギンスやサンダーキャットの制作曲に漂うジャズとネオ・ソウルのヴァイブがまずは濃密だ。かと思えば銃声が鳴り響くトラップ“Sanjuro”ではサムライ魂を語り、スロウタイとの“Zatoichi”ではドラムンベースに乗せアグレッシヴにスピットする。T・ペインがメロウに歌う“Troubles”では身近なカネのいざこざを嘆きつつ、ジェイペグマフィアがアブストラクトなトラックを提供した“John Wayne”では銃社会を糾弾するなど、トピックもさまざまだが一貫して社会へのクールな視点を持つ。ロックダウン中に自己と向き合って制作したという高いリリシズムと、サウンドの多彩さが際立つ逸品。