最新作Netflixオリジナル・アニメのサントラ、サンダーキャット 、デンゼル・カリー、ニキ・ランダ他参加!

 ラション・トーマス監督の原案・プロデュースのもと、アニメーション制作を「呪術廻戦」「進撃の巨人 The Final Season」で知られるMAPPAが担当し、フライング・ロータスが制作総指揮・音楽を務めたNetflixのオリジナル・アニメ「YASUKE -ヤスケ-」。織田信長に仕えた実在の人物、黒人の侍ヤスケを主人公にしたこのファンタジー時代劇には、映像作家の顔も持ち、日本文化にも深い理解のあるフライローほどの適任者はいないだろう。そして彼の新作はその物語で使用されている楽曲を集めたサウンドトラックである。

FLYING LOTUS 『YASUKE』 Warp/BEAT(2021)

 作品の性質上、今回は初期のアルバムをほうふつとさせる久々のインストゥルメンタルを中心とした構成だが、サンダーキャット、ロバート・グラスパー、ミゲル・アトウッド=ファーガソン、クリス・フィッシュマンといったミュージシャンと共に展開される、息を呑むドラマティックで起伏のある流れは、映像が眼前に浮かび上がるようであり、ストーリー性を感じさせるものだ。特筆すべきはトラディショナルな日本の打楽器やアフリカのパーカッションと思われるサウンドと、多様な表情をみせるシンセの音色や野太いビートが混じ合わせる妙味。どこか懐かしい雰囲気とフューチャリスティックなものが交わる不思議な感覚は、彼が制作時に意識したという「ブレードランナー」やJ・ディラをリンクさせる。またサンダーキャットがスウィートでナイーヴな歌唱で蕩けさせてくれる“Black Gold”、短いパートだが凄みを効かせたラップでデンゼル・カリーが爪痕を残す“African Samurai”、フライロー作品の常連ニキ・ランダがエアリーな声で楽曲に繊細さをもちこんだ“Hiding In The Shadows”“Between Memorie”など、適所に配置されたヴォーカル曲の演出も効果的だ。オリジナル・アルバムとしての魅力を備えつつ、アニメを未体験のものでもその世界観へと容易に没入させてくれる巧みなつくりには舌を巻く。