遅れてきたバレアリック歌謡の名盤――そんな惹句を付けたくなるほどの、80s~アーリー90s感を湛えた懐かしくも新しいサウンドメイクと歌謡性漂うメロディーに思わず膝を叩いてしまった。元CHEESE CAKEの田村三果とBRIAN SHINSEKAIによるデュオの初アルバムは、日本のニューミュージックや往年のシンセ・ポップのヴァイブスを換骨奪胎しつつ、アンニュイなフレッシュさを獲得した逆にイマっぽい一枚に。クニモンド瀧口がプロデュースした“シルクのカーディガン”のプリファブ・スプラウト感は言わずもがな、オカモトコウキをギターに迎えた“ランチタイム・ラブ”やGOOD BYE APRILとの共作曲“JUNCTION”の確信犯的シティ・ポップ、オフコース“Yes-No”のわかりみが深いカヴァーまで完璧。