始動から万全を知らずガラクタなりに走り続けてちょうど1年、メンバー脱退で何重にも意味を纏うことになったニュー・シングルが歌い上げる強い覚悟とは?
東京が緊急事態宣言下にあった2020年4月19日に5人組として結成を発表し、そこから毎日の生配信を経てアルバム発表とライヴ・デビュー、さらには東京/大阪間を徒歩で往復するツアーの敢行……と着実にステップアップしながら濃厚すぎる1年を駆け抜けてきたPIGGS。今年に入ってからも定期的にライヴを重ね、このたびは始動から1周年というめでたいタイミングで〈GREAT MUSCLE TOUR〉をスタートし、初のシングル“T.A.K.O”をリリースしました……が、その矢先にUMIが脱退を発表。ということで、大きな転機を迎えている4人に話を訊きました。
夢が夢じゃなくなった
――本来なら結成1周年のお話を気楽に伺うつもりだったんですけどね。
プー・ルイ「お祝いする空気でもない(笑)。でも1年やってこれたこと自体はめでたいです」
SHELLME「うん、めちゃくちゃあっという間だったんですけど。二十何年とか生きてきて、ホントにいちばん濃い1年でしたね。まともな人間にやっと近付けた感じです(笑)」
プー「みんなまともな人間だよ」
SHELL「ホントに? でもグループ的にというか、PIGGSのSHELLMEとしてやっていくうえで、避けては通れない自分の課題にぶつかれる良い機会だったっていうか、みんなに迷惑かけちゃったけど、それぐらいやらかさないと自分はダメだったのかなとは思うし、絶対PIGGSでやっていきたいっていう気持ちが固まった1年でした」
――SHELLMEさんの件(詳細は各自調査)も大事件だったはずなのに、いまとなっては小事件ですよね。
BAN-BAN「小事件(笑)」
プー「いま思えば可愛らしい事件でした。でもメンバーにもぶーちゃんズ(PIGGSファンの総称)にも気まずいのに、それでも配信に出てきたっていうメンタルの強さは評価するべきだし、がんばってると思いますよ。何か上からになっちゃうけど(笑)」
SHELL「まあ、図々しいよね(笑)。もう私のこういう感じは出ちゃってるんで、また日々精進していきます(笑)」
――CHIYO-Pさんはどんな1年でした?
CHIYO-P「似た感じになっちゃうんですけど、あっという間でした。いままで何か1つのことを大事に考えて真剣に取り組んできたことってホントになくて。私もプライヴェートを優先してみんなに迷惑を掛けて、落ち込んでたことが最近あったんですけど、オーディションを受けた時の気持ちは忘れちゃダメだなって改めて思いました」
――そんなことがあったんですか。
CHIYO「親が好きすぎて、凄かったんですよね。全然グループに参加してない感じでした。4人は一緒に住んでるから大事なこともよく話してて。で、私はいなくて。放っておかれたらたぶん大変なほうにどんどん落ちていってたかなって」
プー「ちょっと甘えん坊なところが顔を出してね。何も悪いことはしてないけど、意識に溝ができちゃって、そこを埋めるための時期があって」
――まあまあ、配信に乗ってない場のほうがいろいろありますもんね(笑)。
プー「そうなんですよ。日々の積み重ねの話でもあるから、みんな知らなくていいんですけど。BAN-BANとSHELLMEの喧嘩を朝まで仲裁したりとかもあるし(笑)。でもCHIYO-Pに関しては、SHELLMEがうまく言語化して話してくれたよね」
SHELL「そう、何を言っても響いてない雰囲気が出てたんで、〈あ~、これは昔の私だな〉って思って(笑)。私も〈お前が言うんかい!〉って自分で思ったけど、もっと早く言えばよかったっていう後悔が多かったから、〈いや、これは言おう〉と思って」
プー「そんなに深刻に話した感じではなかったんですけど。真理を突いてるというか(笑)。実際にその後、CHIYO-Pの目が変わるのをうちらも感じた瞬間があって」
SHELL「そうだね」
CHIYO「そういうのも経て大事なものが明確に見えたっていうか。うん、この1つを成し遂げるためにどんなことでもがんばろうって、1年経って初心に返るみたいな気持ちになりました」
――はい。BAN-BANさんはどうですか?
BAN「問題は起こしてないです」
SHELL「そこ基準じゃない(笑)」
プー「別にCHIYO-Pも問題は起こしてないから(笑)」
BAN「えっと、1年前はただ憧れてた世界に入って、覚悟はしてたけど何も知らないから、ふわふわした気持ちでキラキラキラキラキラっていう感じだったんですけど、だんだんいろんなことが見えてきて、〈ここに立つにはこういうことが必要なんだ〉とか、夢が夢じゃなくて現実になってきたのを凄く実感してて。あと、最初は自分のためにがんばりたいってずっと思ってたけど、一緒に仕事してる人や応援してくれてる人と関わっていくなかで、PIGGSのためにがんばりたい、っていうふうになってきました。メンバーもぶーちゃんズも見たいものや行きたい場所は一緒だから、結局は自分のためなんですけど、そういう変化が1年通してありました」
――いいですね。
BAN「あと、いままでは私と同じような環境で育ってきた人しか周りにいなかったけど、いまは境遇も性格も全然違う人たちばっかりと関わってるから、自分をよく知れたというか。サイコパスとか言われるけど(笑)いままでそんなの言われたことなかったし、そういう発見もあって、ホントに去年の自分とは全然違うなっていう感じです」
CHIYO「普段は何か変だし、抜けてるし、時間もルーズだし。へにゃへにゃした感じだけど、大事なことはいちばんできてるから尊敬っていうか、凄いカッコイイと思う」
BAN「でも、考えてることを伝わるように表に出すのがまだヘタクソなんで、1年後にはできるようになってるといいなって」
プー「めっちゃペラペラしゃべってるんじゃない、次回の取材では(笑)」
CHIYO「それはいやだな(笑)」
プー「そこができるようになったらホントのリーダーになれると思うよ」
BAN「真のリーダーをめざします」
――社長/プロデューサーとして、1年前に選んだこのメンバーはどうでしたか?
プー「我ながら良いメンバーを選んだと思いますよ。マジでクソって思った時もあったけど(笑)」
SHELL「おい!」
プー「だけど、みんながんばり屋さんで。いままで見てきたメンバーのなかでいちばん。私だけじゃなくて、振付けの(カミヤ)サキちゃんも〈PIGGSはホントに努力家が揃ってるね〉みたいに言ってくれてるし、あと素直ですね。最初は〈いい奴らを選んでラッキーだな〉ぐらいの感じだったんけど、やっぱりみんなを好きになったし、UMIちゃんも含めて1年やってこれて良かったです」