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全編アコースティックの名器で、甘美な映画音楽の名曲を

 2チェロズの新作『スコア』は、初めて挑んだ映画音楽の名曲集。ロンドンのエアースタジオで、名門ロンドン交響楽団との共演でレコーディングされた。

2CELLOS Score Sony Music Japan International(2017)

 「初のコンセプトアルバムで、映画音楽は念願だったので、一流の環境を整えた。レコーディングではエンジニアのピーター・コビンが貢献してくれた」(ルカ)

 超一流の完璧な仕事ぶりに刺激されつつ、彼らと組めるようになった自分達の成功をも実感したようだが、チェロも愛用のエレクトリックやカーボン製ではなく、名器ストラディヴァリウスとアマティを弾いた。

 「弾いた瞬間の素晴らしさ。力強くて、音色も鮮やか、全てにおいて名器のすごさを実感した」(ステファン)

 全編でアコースティックのチェロを演奏した背景にはクラシックへの想いもある。彼らの胸のうちにあるのは「いつか原点回帰をしたい」との願いだからだ。

 収録15曲は、いずれも映画史に残る名曲ばかりだ。

 「子供の頃からクラシックと並行して、映画音楽を聴いてきた。饒舌に物語を語る映画音楽は、容易に感情移入できるので、好きだった。今回は15曲を収録したけれど、選曲の過程で新たな出会いもあった。それを含めると、あと3枚はアルバム作れるね」(ルカ)

 15曲中1曲だけだが、ハンス・ジマーの弟子ラミン・ジャワディが作曲したTVドラマの楽曲がある。

 「もともとチェロ用に作曲された美しい楽曲だし、ドラマのロケ地が僕の父の出身地クロアチアのドゥブロブニクだったこともあり、冒頭で演奏したんだ」(ルカ)

 冒頭のメドレーは、ドラマティックで壮大だが、多くの曲は、《ある愛の詩》や《ニュー・シネマ・パラダイス》などロマンティックでエモーショナル。甘美なチェロの音色が際立つが、とりわけ磨かれた豊かな表現力が発揮されるのが名曲《ムーン・リヴァー》だ。

 「シンプルな曲を自然に美しく演奏するのは難しく、僕にとってもチャレンジングな曲だった」(ルカ)

 「《ムーン・リヴァー》のような曲は、高度な技巧だけでは補えない、卓越した表現力が必要とされる。ルカは天才。それを証明する演奏だと思うよ」(ステファン)

 さて、アルバムのタイトルは、『スコア』と直接的な言葉でわかりやすいが、実は隠れた意味もあるという。

 「スコアには楽譜という以外に“ビンゴ”、大当たりという意味もある。このタイトルにはぜひヒットさせたい、という思いも込められているんだ」(ステファン)

 実際にヒットすれば、次も映画音楽のアルバムになるかもしれないが、その前に5月の来日公演が決定している。今回は2部構成で、1部は映画音楽、2部はロックやポップのヒット曲中心のプログラムで、ともにオーケストラとの共演でパフォーマンスする予定だ。

 


LIVE INFORMATION

2CELLOS THE SCORE TOUR
○5/10(水) 11(木)19:00開演 フェスティバルホール
○12(水)19:00開演 広島国際会議場 フェニックスホール
○15(月)19:00開演 名古屋国際会議場 センチュリーホール
○16(火)19:00開演 仙台サンプラザホール
○18(木)19:00開演 函館市民会館
○19(金)19:00開演 ニトリ文化ホール(札幌)
○22(月)19:00開演 東京ドームシティホール
○23(火)19:00開演 東京国際フォーラム ホールA
udo.jp/concert/2Cellos