チャーリー・パーカーの音楽の原型、そしてその音楽が生まれた原風景を探る作業は、これからも繰り返し行われるのだろう。そして、その作業はビーバップとは何か、ジャズ・モダンの始まりを明らかにするだろう。原型を明らかにする分析的な研究は2013年に浜瀬元彦著「チャーリー・パーカーの技法」が出版され劇的に進展した。ではその音楽の誕生と進展を明らかにする作業はどうだろうか。本書、牧野直也著「チャーリー・パーカー伝」は、植草甚一のエッセイ集「バードと彼の仲間達」をはじめとする日本におけるパーカー評伝の、最新刊。入手可能なパーカーの音源を辿り、彼の音楽の前景、背景となった音楽を並走させて彼が生きたアメリカ大陸を横断する。