〈intoxicate presents EVENT 0433 @ “I’M A SHOW”〉に内田也哉子、大西穣、小沼純一から応援コメントが届いた。

タワーレコードが発行する、クラシックやジャズ、現代音楽などを中心にジャンルを問わないエンターテインメントを紹介するフリーマガジン「intoxicate(イントキシケイト)」。同誌が、2022年12月13日(火)に東京・有楽町のI’M A SHOW(アイマショウ)で〈intoxicate presents EVENT 0433 @ “I’M A SHOW”〉を開催する。

I’M A SHOW(アイマショウ)は、12月にオープンしたシアターで、〈NO MUSIC, NO LIFE.〉でおなじみの箭内道彦がクリエイティブディレクターを務めるシアターだ。〈EVENT 0433〉は、同シアターのオープニングスペシャルシリーズ公演のひとつとして開催される。

渡邊琢磨、渡邊琢磨アンサンブル、三浦透子

初回は、作曲家・ピアニストの渡邊琢磨を中心にした渡邊琢磨アンサンブルが出演するが、三浦透子のゲストヴォーカリストとしての出演が決定したことは、先日お伝えした。三浦透子といえば、ヒロインとして出演した映画「ドライブ・マイ・カー」(2021年)が話題になった俳優で、渡邊が弦楽アンサンブルにアレンジしたドラマ「六本木クラス」の主題歌“点灯”を歌うシンガーでもある。

なお、当日は、タワーレコード渋谷店が会場に特別出店。“点灯”が収録された三浦透子のニューミニアルバム『点描』が、12月14日(水)のリリースに先駆けて販売される。こちらもお見逃しなく。

そんな〈EVENT 0433〉の開催に向けて、内田也哉子、大西穣、小沼純一から応援コメントが届いた。コメントは次のとおり。

■内田也哉子(文筆業)
12月13日、すべてを指揮する渡邊琢磨さんの背中から匂い立つ稀有な音のランドスケープに、きっと私たちは心酔することでしょう。そして、三浦透子さんをはじめとする演奏者ひとりひとりの発する音模様は、きっと私たちの細胞に刻まれることでしょう。

■大西穣(音楽批評/翻訳家)
2021年私的ベストアルバム『Last Afternoon』を放った弦アンサンブル。
レアな東京公演で、息を呑むような幽玄の美を体感する。

■小沼純一(音楽・文芸批評家/早稲田大学教授)
 音楽が、というより、音楽と無自覚に呼ばれる音たちのながれが、無自覚にききながされるいまに、サビだけをきいてわかったような気がするようないまに、映像を早送りしてみたような気がしているいまに、ライヴで、渡邊琢磨アンサンブルの演奏にふれる意味を考えてほしい。
 渡邊琢磨がひびかせるような音楽が、いま、きかれるべきなんだ、とつよくおもうからだ。音楽をきくしごとをしながらも、音楽にうんざりしている身に、こうした音の、音楽のながれが、貴重なものに、あり・がたいものにおもえるからだ。アンサンブルは、弦楽五部とパーカッションで、指揮を渡邊琢磨じしんが手掛ける。ピアノが達者な作曲家が、ピアノからはなれ、しかも、多くの時間を弦楽の持続とゆったりとした微細な音の変化――楽音/ノイズのグラデーション――によって織りなし、ビートでもリズムでもなく、ひそやかに金属と革とのわずかな振動と起伏でゆらめかせるパーカッションは、音のきめが音楽をつくり、生きものとしてのひとにとっての日々の時間を、動物の、植物の生きているときのながれが、いま、このときにも、地球上でいとなまれていることを、おもいださせてくれる。誇張だろうか? いや、わたしには、なのだけれど。
 こうした音楽=作品、音楽のありかた、を感じさせてくれるひとが、ちかくにいる、ということ。何人かの作曲家をおもいだし、こうした作品があり、経験があったことはおもいだせる。そのうえで、2022年にこうしたひびきで、こうした時間感覚が、というのが驚きだ。
 映画『あの子は貴族』の音楽が、渡邊琢磨だった。みたひとなら感じただろうか。かつて、21世紀になってからリリースされたいくつかのアルバムの楽曲、複雑なリズムとキャッチ―なメロディ、それでいて、どことなく選り好みさせぬでもない楽曲たちとは、近年の渡邊琢磨の音楽はかなり違っている、違っているようだ。はなしをしていないのでよくわからない。だが、きっとこの音楽家が感じつつまた実現しようとする音楽=作品の時空間は、いまの一般的な生活の、効率重視で、感じたり考えたりすることをすりへらすことを求める生きかたと一線を劃したところにあり、たとえそうではなくても、そうしたいとどこかでのぞんでいる。
 このライヴには、『ドライブ・マイ・カー』に出演した三浦透子が出演もする。ヴォーカルが、アンサンブルのみのライヴに、べつの色を加える。そこのところで、すこし、渡邊琢磨の音楽が、ふつうの、ひとびとの、空間に、すこしつながる。つながるだろう、と予想する。
 新しいライヴハウスで、渡邊琢磨アンサンブルのひびきは、何かを、ゆさぶるだろうか。ゆさぶるのを、感じられるだろうか。

渡邊琢磨アンサンブル × 三浦透子が出演する〈EVENT 0433〉の第1回公演。特別な一夜を体験するために、12月13日はぜひ有楽町I’M A SHOWに足を運んでほしい。

 


LIVE INFORMATION
intoxicate presents EVENT 0433 @ “I’M A SHOW”
2022年12月13日(火)東京・有楽町 I’M A SHOW(アイマショウ)
開場/開演:18:30/19:30

■出演
渡邊琢磨アンサンブル:地行美穂(ヴァイオリン)/須原杏(ヴァイオリン)/角谷奈緒子(ヴィオラ)/橋本歩(チェロ)/千葉広樹(コントラバス)/山本達久(ドラムス)/渡邊琢磨(指揮)
ゲストヴォーカル:三浦透子

■チケット
前売り/当日:5,300円/5,800円(全席指定/税込/ドリンク代別)
2022年11月12日(土)10:00一般発売
※未就学児童入場不可/小学生以上有料
https://eplus.jp/sf/detail/3742370001-P0030001P021001?P4=001

■コンサート概要

イベント名は、あらゆる行為や構図の背景にあるアンビエント・サウンドを全景化するという意図のもと作曲されたジョン・ケージのサイレントピースから。0433は、都市の背景に仕込まれたサウンドにコンサートという形式を与えるそんなコンセプトで設計され、計画ではシリーズに和テイストの〈イヴェント・四三三〉なども予定しています。
その注目の第一弾は、渡邊琢磨アンサンブル。ゲストヴォーカリストに女優・シンガーの三浦透子を迎えます。弦とドラムにプログラムされたサウンドで構成されるアンサンブルの包み込む光と影の空間に女優はどんな声で語りかけるのでしょう。

お問い合わせ(サンライズプロモーション東京):0570-00-3337(平日12:00~18:00) ※土日祝休業

 


PROFILE: 三浦透子
カンヌ国際映画祭で日本人として史上初となる脚本賞(大江崇允(たかまさ)と共同)など4冠を達成した村上春樹の短編小説を映画化した西島秀俊主演の「ドライブ・マイ・カー」に出演したことも記憶に新しい。音楽面では2019年に映画「天気の子」の主題歌ボーカルとして抜擢され、翌年にはオリジナルミニアルバム『ASTERISK』をリリース、その清らかかつまっすぐで強い芯のある歌声が高く評価される。12月14日にセカンドミニアルバム『点描』をリリース。単独初主演となる映画「そばかす」が12月16日に公開。羊文学の塩塚モエカ提供による主題歌“風になれ”も配信中。

PROFILE: 渡邊琢磨
75年、宮城県仙台市出身。高校卒業後、米バークリー音楽大学に入学。米国のプロデューサー、キップ・ハンラハンとの共同作業やイギリスのミュージシャン、デヴィッド・シルヴィアンの世界ツアーで28公演にメンバーとして参加するなどを経て、映画音楽など多岐に手掛ける。近年の主な作品には「美しい星」(2017年、吉田大八監督)、「あのこは貴族」(2020年、岨手由貴子監督)、「この子は邪悪」(2022年、片岡翔監督)などがある。2014年から弦楽アンサンブルを主催し、その活動内容はイギリスのレーベル、コンストラクティヴからリリースされたアルバム『Last Afernoon』に結実し、直近では弦楽とコンピュータそしてドラマー・山本達久を新たに迎えた編成で活動を行なっている。

PROFILE: intoxicate
「intoxicate(イントキシケイト)」は、タワーレコードが発行するフリーマガジン。クラシックやジャズ、現代音楽、ワールドミュージックなどを中心に、映画や美術展、バレエや伝統芸能など、ジャンルやパッケージの形式にこだわることなくお茶の間で話題にしてほしいイベントやアイテムを紹介する媒体。メジャーなものばかりではなく一人でも多くの読者に知っていただきたいものを豊富に、意欲的に紹介する。