ECM設立55年、New Series設立40年のメモリアル・イヤーに〈Ambient of ECM〉展が開催!
名匠ヘルベルト・フォン・カラヤンが音楽監督を務めるベルリン・フィルハーモニック・オーケストラのコントラバス奏者という、世界中のクラシック音楽家が夢見るであろう地位を投げ打って、マンフレート・アイヒャーは1969年にレコード・レーベルのECM(Edition of Contemporary Music)を設立した。
以来、アイヒャーのプロデュースのもとでキース・ジャレットやチック・コリア、パット・メセニー、ヤン・ガルバレク、ティグラン・ハマシアンなど、世界各国の個性的なミュージシャンたちが、レーベル名のとおりジャンルを超えた現代の音楽を生み出し続けている。
アイヒャーはまた、1984年には様々な時代のクラシック音楽に焦点をあてたECM New Seriesを発足させ、アルヴォ・ペルトやギヤ・カンチェリ、ティグラン・マンスリアンといった現代作曲家の作品や、ギドン・クレーメル、ハインツ・ホリガー、ヴァレリー・アファナシエフなどの名演奏家によるクラシック曲のアルバムを発表してきた。
そのECMが今年は設立55年、New Seriesの設立40年を迎え、日本ではそれを記念してレーベル・アーティストたちの音楽が生まれる過程を追ったドキュメンタリー映画「ECMレコード―サウンズ&サイレンス」が記念上映されているが、12月13日から21日にかけては、東京の九段ハウスで〈Ambience of ECM〉と銘打ったエキシビションが開催される。
会場では、岡田拓郎や岸田繁、三浦透子など、5組のアーティストが個々の部屋の空間に合わせた選曲とそれに相応しいサウンドシステムによるECMの音楽鑑賞や、レーベル所蔵のポスター作品の展示が楽しめる。また、最終日の21日には、ECMを様々な形で紹介するトークやDJセッション、レセプションが行われる(こちらは完全招待制)。
いっぽう、本業であるアルバムの発表も順調に行われている。まず、キース・ジャレットとゲイリー・ピーコック、ポール・モチアンという3人の名手が一堂に会する唯一の機会となったライブ盤『At The Deer Head Inn』(1994年)に収録されなかった音源が、『The Old Country』というタイトルで発売された。
また、ポール・モチアンのエレクトリック・ビバップ・バンドのメンバーだったギタリストのヤコブ・ブロも、2014年にリー・コニッツやビル・フリゼル、アンドリュー・シリルなど、ユニークなメンバーで録音した静謐でアンビエント的な色彩の強い『Taking Turns』を発表している。
さらには、スイス人ピアニストのコリン・ヴァロンが新作『Samares』で、トラディショナルなトリオ編成ながらプリペアド・ピアノやエフェクト処理を取り入れ、アコースティックとエレクトリックの境界を取り払うような新しい響きの世界を演出している。
どのアルバムも、ECMの最大の特徴のひとつである、無音の空間と音のある空間の繊細な取り合わせが魅力となっている。
EXHIBITION INFORMATION
Ambience of ECM
2024年12月13日(金)~2024年12月21日(土)東京・kudan house
時間:10:00/14:00/18:00(所要時間:1時間程度、事前予約制)
※2024年12月21日(土)はレセプションのため招待者のみ
■入場無料(要予約)
https://ambienceofecm.peatix.com
※館内では一部裸足となるプログラムがございます。靴下等脱ぎやすいお履物でお越しください