2022年12月に東京の有楽町にオープンしたばかりの文化シアター〈I’M A SHOW(アイマショウ)〉にて、intoxicate主催の〈EVENT 0433〉が行われる。12月13日に渡邊琢磨アンサンブルが、その第一陣を飾る。
元々ジャンルを越える才能として知られる渡邊琢磨は、ピアニスト/コンポーザーとして開始、キップ・ハンラハンやデヴィッド・シルヴィアンらとの活動で知られる。近年は自身の活動と平行し、映画音楽のフィールドでの活動が本格化し、近年はその充実ぶりが顕著になっている。
そのなかでも渡邊琢磨アンサンブルは、2014年ごろに結成された変則的な弦楽カルテットを母体とし、(場合によっては10数名のアンサンブルに編成されることもある)音楽的実験を繰り返す、そんな渡邊の〈バンド〉的存在だ。一定のメンバーとアンサンブルを組むことで、バッハを理想とする和声の追求から、譜面にて演奏における齟齬をあえて生み出す実験音楽的側面、自身のプログラムで組んだ電子音楽と調和させるアンビエント音楽的側面などをそれぞれ深化させ、作曲家に新しいフェーズをもたらしている。近年の映画音楽としては『美しい星』(2017年、監督・吉田大八)『あのこは貴族』(2020年、原作・山内マリコ 監督・岨手由貴子)『この子は邪悪』(2022年、監督・片岡翔)などの作品で現代的で繊細なテクスチャーを作り、映画音楽で得られた経験はアーティスト自身の作品『Last Afternoon』(2021年)を生み、弦と電子音が絡み合う幻想的世界は、さまざまな層の音楽ファンを惹きつけている。
この10月に渡邊琢磨アンサンブルは河口湖円形ホールで、遠隔でのオンライン共演を実現。筆者はECMから『オブシディアン』『ヴァーミリオン』『ドリームライフ・オブ・デブリ』の3作品をリリースしているパイプオルガン奏者キット・ダウンズとの共演回を観たが、シンセサイザーのように操るダウンズのオルガンと、会場の弦の、オンラインとは思えない繊細な音響の絡み合いに触れることができた。また、今回も参加するドラマー山本達久の登場によって、弦中心のテンポ感の消失と音色のテクスチャーの選択というベクトルに、ダイナミクスと音響表現の選択の幅が加わったようだ。
世界的実力を持つ演奏家たちとの共演、楽譜を使ったさまざまな実験、電子音楽との融合、映像世界との関わり。
この12月、有楽町の地で、独自に変化し続ける渡邊琢磨アンサンブルの今が体感できる。
LIVE INFORMATION
intoxicate presents
EVENT 0433
2022年12月13日(火)東京・有楽町 I’M A SHOW(アイマショウ)
開場/開演:18:30/19:30
■I’M A SHOW(アイマショウ)
東京都千代田区有楽町2丁目5番地1号有楽町マリオン(有楽町センタービル)別館7F
https://imashow.jp/
■出演:渡邊琢磨アンサンブル
地行美穂(ヴァイオリン)/須原杏(ヴァイオリン)/角谷奈緒子(ヴィオラ)/橋本歩(チェロ)/千葉広樹(コントラバス)/山本達久(ドラムス)/ 渡邊琢磨(指揮)
■チケット
前売り/当日:5,300円/5,800円(全席指定/税込)
2022年11月12日(土)10:00一般発売
※未就学児童入場不可/小学生以上有料
https://eplus.jp/sf/detail/3742370001-P0030001P021001?P4=001
■公演・イベント・チケット情報などのお問い合わせ
TEL:0570-00-3337
受付時間:平日12:00~18:00(※土日祝休業)
主催:サンライズプロモーション東京
企画制作:intoxicate/タワーレコード株式会社
INFORMATION
EVENT 0433とは
タワーレコードのフリーマガジン「intoxicate」が、有楽町に誕生する新シアター〈I’M A SHOW(アイマショウ)〉をプラットフォームに企画するシン・イヴェント〈0433〉。タイトルは背景のアンビエント・サウンドを全景化する、ジョン・ケージのサイレントピースから拝借する。今後は和テイストの〈イヴェント・四三三〉なども予定している。