ヒップホップ系の新進プロデューサー、インフロの起用も物議を醸しそうな3年ぶりの新作だ。ブーストした低音とウワ音を切り貼りしたようなミックスに戸惑うファンは多いかと思うが、そもそも彼らは登場時から型にはまったバンドではなかったはず。サウンドメイクにおける新たな挑戦が、ロックンロールに止まらず、ファンク、ディスコ、ラテン音楽などさまざまな要素を持った楽曲に結実したことを、まずは評価すべきだろう。クークス版のクラッシュ『Combat Rock』、あるいはローリング・ストーンズ『Undercover』だと考えれば、これもまたブリティッシュ・ロックの伝統を受け継いでいると言えなくもない。胸を焦がすメロディーは健在で、メンバーの眼差しは少しもブレていないのである。