突き放すような表題が暗示するように、成功の裏で直面した音楽業界への怒りやストレスフルなリリックで覆われた5作目。それに反するようにインフローが手がける楽曲は美しさを纏い、クワイアをバックに訥々と語る7分半の大作“Broken”は壮麗なゴスペルのようだ。とはいえラッパーとしての冴えは変わらず、“Gollila”ではジュラシック5と同ネタのベースラインに乗せて、ゴリラズに客演するほどの世界的な支持と、マイク・スキナーをネームドロップしつつ〈ストリーツ〉からの支持も同時に誇示するという、彼女にしかできないボーストを披露。赤裸々かつ孤高と評するに相応しいヒップホップ作。