2022年にアルバム『(エン)』をリリースし、佐藤乃々子さんの卒業と〈RYUTist SEASON3 LAST TOUR「会いにいきます」〉の開催を控えるRYUTist。〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉は、RYUTistの宇野友恵さんによる、本にまつわる連載です。今回の一冊は、本日2月25日に行う北海道・西興部村でのライブと小学生時代のエピソードに関係した米田一彦さんの「山でクマに会う方法」。果たして、〈クマに会う方法〉とは……? *Mikiki編集部
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3年半ぶりに西興部村に行きます。
西興部村は、北海道にある人口約1000人の小さな村です。
私たちRYUTistと西興部村さんの出会いは2015年。
事務所に届いた一通のお手紙からはじまりました。
今の時代にお手紙でのライブのオファーはなかなかアナログ。
新潟からは飛行機と車の移動で到着までに半日かかるその村へ期待と不安の両方を膨らませて向かったのを覚えています。
辿り着いた西興部村は、広大な自然に囲まれ、オレンジに統一された建物が並ぶ、不思議な世界でした。
村の方たちには十分過ぎるほどのおもてなしをしていただき、その美しさとあたたかさに私たちは一気に魅了されました。最近では移住者も増えてきているそうです。
昨年、RYUTistの“きっと、はじまりの季節”という曲を村の皆さんの演奏でコラボもさせていただきました。
完成した作品はYouTubeにアップされており、企画ウェブサイトもあるので、ぜひご覧になってみてください。
そんな西興部村の特産品には、鹿やヒグマのお肉があります。
鹿肉のローストにクマシチュー、最初は恐る恐るいただきましたが意外と美味しいです。今では西興部村に行く際の楽しみになっています。
さて今回は、クマ繋がりでこちらの本をご紹介したいと思います。
先日、本屋さんである本が目にとまりました。
米田一彦さんの「山でクマに会う方法」です。
クマは危険な動物として認識されているはずなのに、自ら会いに行っていいのか?というただの興味本位と、西興部村に行く前のタイミングで見つけたご縁を感じ、読んでみることにしました。
著者はクマ研究者でNPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長の米田和彦さん。
米田さんの経験談とともに熊の生態を知れるので面白いです。
読んでいるうちにある体験を思い出しました。
私は、ボーイスカウトに数年だけ所属していたことがあります。
その日はキャンプで山に行きました。
当時小学2年生だった私は、まだ何もできず、ほとんどは遊ぶだけ。
焼いてもらったマシュマロを食べ、飯盒炊飯の様子を眺め、少しだけ手伝ったカレーを食べたりして楽しみました。
夜は女子、男子のグループに分かれて寝ることになっていたのですが、そのときは仲間の女の子がお休みで、一人で寝ることにしました。
大人の女性隊員さんが一緒に寝ようかと声をかけてくださったのを生意気にも断り、初めてのことに心躍らせました。
一人用のテントに入ってしばらく経っても、興奮して眠れない。
夜の静けさは、幼い私を恐怖へと誘っていきました。
昼間に聞いた〈クマは危険な生き物なんだよ、襲われたら終わり〉という情報が頭の中でぐるぐると駆け巡り、怖さがMAXになってついにテントを飛び出しました。
一緒に来ていた父の寝ているところまで一目散に走っていきました。手には鈴を持って。怖いのに暗闇は大丈夫なのかとつっこみたくなりますね。
米田さんの本によると、クマよけに完璧な方法はないけど、対策としてよく聞く鈴や死んだふりは効果があるそうです。
そして、〈クマの食事メニューに“人間”は入っていない〉ので、もし出会ってしまってもクマが人間を食べるために襲うことはごく少なく〈人間に対するクマの攻撃の強弱は、クマに対する人間の行いに影響される〉のだそう。
長い月日を経て、答え合わせ。
安全さでいえばテントの中でじっと待っていたほうがよかったかもしれないですね。
一人で寝れると強がった可愛い小学2年生のエピソードでした。